中国では近年無人化サービスが相次いで現れている。コンビニや銀行、本屋など多くの店がロボットや無人レジなどの設備を導入し、人件費を削減してきた。そしてまた無人化サービスに新たなメンバーが加入した。
中国・上海のショッピングセンターの地下2階にあるティースタンド「快楽檸檬」(ハッピーレモン)では、ロボットを1台導入し、8種類以上もの飲み物を自動で提供することができる。
▲快楽檸檬スマート店の外観(撮影:チャイトピ!)
▲飲み物を作るロボット(撮影:チャイトピ!)
実際に体験してみた!
チャイトピ!編集部は実際に店舗へ赴き体験してきた。注文から商品を受け取るまでのフローは以下の通り:
- アリペイあるいはアリババ運営の生活情報アプリ「口碑」からQRコードをスキャンし、注文画面を表示する。
- 温度や甘さを選択。あとは受け取るのみ。
▲スマホの注文画面で自分好みの温度や甘さを選択
支払いを済ませるとすぐにロボットが動き始めた。反応スピードはかなり速かった印象。ちなみに、現在このロボットは温かい飲み物の提供はなく、温度選択は氷の量の調節にのみ対応している。加熱機器がまだ導入できていないからとのこと。
ロボットは注文の通りにお茶やミルクなどの材料をカップに入れ、全自動で飲み物を作成する。作業時間はおよそ1分40秒であった。
▲ロボットがミルクティーを作る様子(撮影:チャイトピ!)
- 商品が完成すると客のスマホにショートメールが届き、そこに記されたURLをクリックすると受け取りボタンが表示される。それをクリックすると実際の受け取りボックスの扉が開き、商品を受け取ることができる。隣のカウンターには持ち帰り用の袋やストローが設置されていた。
▲受け取り台からミルクティーを受け取る(撮影:チャイトピ!)
チャイトピ!編集部は続いて隣の有人カウンター、つまり店員の手で作られる一般的な販売形態の飲み物も注文し、ロボットと比較してみた。このとき、ロボットと有人カウンターとで注文したのは全く同じミルクティーである。作業時間はほぼ同じでおよそ1分40秒。味も大差なかった。取材日は平日の昼過ぎで、客は2組から5組ほどはいる状態が続いていたが、ほとんどの客が有人カウンターから注文していた。たまにロボットから注文する客がいるとロボットが働く姿に注目が集まり、それに続いてロボットから注文する客が出てくる。編集部が有人カウンターから注文した時は前に並ぶ客が他にいたのもあり、注文から受け取りまで5分半もかかってしまった。にもかかわらずやはりロボットへの信頼感はまだ薄いのか、出番待ちをするロボットのそばで客は有人カウンターに並んでいた。
飲食業界にもニューリテール戦略
快楽檸檬のこのスマート店舗はアリババと快楽檸檬が共同開発し、今年3月1日に正式開業した。現在はまだロボットだけの店舗としては成立しておらず、有人・無人の両方の形態で運営している。ロボットが作る飲み物のお茶やミルク、レモンなどの材料は店員の手で補充されており、材料の状況はパソコンで管理されている。材料不足となるとパソコンの管理画面に通知され、店員が時々確認してはその都度補充しているようだ。このように未だロボットは店員による世話なしには運営できず、完全な無人化へはまだ課題が残る。
▲パソコンの管理画面にレモンが不足しているとの通知が赤色で表示されている。(撮影:チャイトピ!)
アリババによる飲食店への投資は今回が初めてではない。アリババ傘下のO2O生鮮スーパー「盒馬」も昨年、ロボットを導入した無人レストランを開店した。アリババが提唱するニューリテール戦略は小売業界だけでなく、飲食業界にも浸透していくようだ。AI技術やビッグデータの活用による飲食業界の効率アップに期待が高まる。