2018年から世界的に5Gに関する話題が頻繁に取り上げられるようになり、中国やアメリカ、韓国をはじめとする世界各国が5G開発に取り込んでいる。その中でも最先端を行く企業の1つである中国のファーウェイは、欧米諸国に5G通信網構築への参入を禁じられるなどしており、米中の5Gでの覇権争いは既に白熱化している。
5Gとは超高速・大容量・多接続などの能力を持つ第5代移動通信システムを指す。通信速度は4Gの約100倍で、通信容量は4Gの約1000倍。商用化が実現すれば、4Kや8Kなど高画質の動画をスムーズに視聴できたり、遠隔操作技術を用いた製品の質が向上したりなど、日常生活に大きな利便性をもたらすとされている。早くも韓国の三大通信キャリアは2018年末に5Gサービスを打ち出し、世界で初めて5Gの商用をスタートした。しかし現段階では基地局の数が足りず、電波を受信できないケースが多発した。
一方中国も2019年の内に予定よりも早く5Gの商用化を実現すると宣言した。そこで、今回は中国の5G技術開発経緯と今後の進展スケジュール、そして中国および世界を代表する5G開発企業の1つ・ファーウェイの強みをまとめている。
中国 5G技術発展経緯・今後の展開
中国5G技術研究担当の「IMT-2020(5G)推進組」が発表している計画によると、2018年に5G試験運営を開始し、2019年の予備商用段階を経て、2020年に完全商用化を実現する予定である。現在の計画では先述の通り、2020年完全商用化の予定を前倒して2019年の内に実現する可能性もある。
▲中国5G技術発展計画表
2016年から2018年にかけて中国5G基盤技術の開発と検証を行い、2018年から2020年にかけては5G商品の研究開発を行う。
上海市で2019年3月31日、携帯電話の5G通話に成功し、中国初の5G試験都市となった。試験対象となった虹口区では現在228箇所に5G基地局が設置されており、年内には1万箇所にまで増やし5Gネットワークを大幅拡大する計画である。そのあと4月13日には上海に次いで北京でも5Gによる通話に成功した。
▲中国三大キャリアの5G推進計画。三社とも2020年までに商用化を実現する計画。
中国三大キャリアも各社の5G推進計画を発表し、2020年までに商用化を実現する予定である点で共通している。特に中国移動は世界最大規模の5G試験網の建設を計画しており、加えて中国聯通は中国の16都市で5G規模試験を展開する計画だ。
スマホブランドも各社5G対応スマホの開発に取り込んでおり、ファーウェイはすでに5G対応の折りたたみスマホを公開した。他にはxiaomiも5G対応の新型スマホを打ち出している。
ファーウェイを取り巻く5G主導権争い
ファーウェイの5G技術が中国政府に悪用されるのではという国家安全保障に関わる懸念から、ファーウェイは世界各国に警戒され、同社の5G設備は欧米の複数国で使用禁止とされている。同社CFOの孟晚舟がカナダ政府に拘束された事件もまだ記憶に新しく、滅多にメディア露出をしないと言われるファーウェイトップの任正非も各国の取材に応じるなど世界から熱い注目を浴びている。これらの注目は警戒心による部分も大きいが、今年3月にEUでは5G通信網構築におけるファーウェイの排除が見送られるなどそのほか以下で述べる要素も含め世界から認められし同社の技術がある。一体ファーウェイのどこが強みであるのか?
ファーウェイは1987年に任正非により設立された通信機器メーカーで、2018年Q2には出荷台数ベースの市場シェアにおいて、韓国のサムスンに次いで世界スマホメーカー第2位の座に輝くという快挙を達成している。
ファーウェイは今から10年前の2009年から5G開発を始めた。ファーウェイは数ある事業の中でも研究開発を重要視しており、2018年にはアップルやマイクロソフトを抜いて、世界で最も研究開発に資金投入をしたIT企業第4位となった。
また、かつて通信機器メーカーの中興通訊(ZTE)がアメリカから部品提供を停止された際、アメリカのチップ開発技術に依存した事業展開によって、会社運営を一時停止せざるを得なくなるほどにダメージを受けたということがあった。このときファーウェイは海外企業への技術的依存から脱却するため、2004年にチップ開発会社「海思半導体(ハイシリコン)」を設立し、自社チップの開発も始めた。
ファーウェイの5G開発における強みをまとめると、中国の国策としてのタワー会社設立により、世界でも類を見ないスピードで5Gインフラが進む背景を持つことと、上で述べた2つ①同社の研究開発への投資力と②自社チップが挙げられる。それだけでなく、ファーウェイはすでに国外に向けて1万を超える基地局を提供しており、米国防総省の発表によるとファーウェイは今後世界の28%の通信シェアを取り得るとしている。
一方日本は5G開発において米中と比べるとやや遅れていると言えるが、5G網構築は着実に進んでいる。東京電力パワーグリッドは今年3月、5G基地局の設置場所として通信キャリア3社とアンテナを共用する仕組みの実証実験を始める計画を発表した。隣国・中国や韓国などその他世界各国が技術開発に取り組む中、日本も間もなく5G時代を迎えるだろう。
ソース:http://www.xinhuanet.com/info/2018-08/31/c_137433396.htm