中国語の流行語・ビジネス用語を知ろうシリーズ第2弾、今回はタイムリーな話題に関わる「毁童年」や「520」を含めた5つの流行語を紹介します。

种草(種まき)

「种(種)」は「植える、蒔く」という動詞で、「种草」は「草を植える」と訳せる。ここで紹介する流行語においては本来の意味ではなく、ある人に「購買意欲を芽生えさせる」ということを指し、「種まき」と翻訳することにする。

ECビジネスが高度に発達した中国では、人々の購買意欲を掻き立てる環境が整っている。weiboやWeChatのモーメンツは毎日のように購入したものや利用したプラットフォームを紹介する投稿であふれ、好きなタレントや一般人のネットインフルエンサーから「種まき」をされることもあれば、友人と街で出会ったときにふと「種まき」され、購買意欲の花を咲かせることもあるだろう。小紅書などの商品レビューでは「种草」というコメントが多くみられた。

後に「抜く」の漢字を使った「拨草」という派生語も誕生した。これは「种草」の反義語で「買う気が失せる」という意味と、ターゲットを購入したことにより「種まき」されて生えた購買意欲の「草を刈る」という2つの意味を持つ。

 

毁童年(思い出毀損)

「童年」は「幼少期」という意味で、この言葉は「幼少期を壊す」という意味を持つ。

幼少期に愛してやまなかった遊園地のキャラクターの着ぐるみの中にはスタッフが入っていたと大人になってから知るなど、幼少期の美しい記憶、印象が大人になってから壊されてしまうことを「毁童年」という。

・丁克(ディンクス:子どもを持たない共働き夫婦)
子どもを意識的にもたず夫婦2人で生きるという生活観を指し、「丁克族」や「丁克家庭」という使い方をする。この言葉は英語の「DINK(Double Income No Kids:子どもなしの夫婦共働き)」に由来している。「丁克」は「ding ke≒dink」と発音する。

「丁克」は50~60年代の欧米文化を由来とし中国では80年代に出現した。共働きの多い中国の経済都市では高収入の夫婦がさらに高品質の生活を求めるようになり、子供の世話よりも自分たち夫婦のために消費生活をしたいという価値観の人間が増えた。また逆に都会の生活コストの高さから子供を養う余裕がなく「丁克」への道を選ぶ者も少なくない。

weiboでこの言葉を検索すると「2018年ペット市場規模1708億元に到達。『丁克一族』が寂しさからペットを飼うように」や「同性愛者が親に結婚を催促されたとき、『丁克だから結婚しない』と言った方がまだわかってもらえる」などという投稿が多くの関心を得ている。

 

穷游(貧乏旅行)

主にお金の無い若者を中心に、インターネットおよびモバイル決済の普及と共に流行した“最小限の費用で最大限に楽しむ”という旅行スタイル。明確な流行のきっかけは無いが、若者がWeiboやTikTokで自分の生活を共有するライフスタイルが築かれてから、誰かが旅行に行けば、人々はその美しい写真と共にあらゆる旅行方法の可能性を知るようになり、多くの若者を惹きつけた。

Weiboでは“雲南省42日間を6000元(約95,000円)で”や“杭州・烏鎮・蘇州・南京7日間を1800元(約28,000円)で”などの穷游レポートが注目を集めていた。国内旅行サイトにも関連商品は多くみられるが、今では穷游専門サイト「穷游网(窮遊網)」までもが誕生している。地域別に価格目安や人気観光地、営業時間、チケット料金に写真、そして口コミと事細かにまとめられている。徹底的に予算を考慮して経済的なプランを立てる人もいれば、節約をきっかけに手軽な旅行を楽しむ人まで、「穷游」から始まる旅行ブームが起きている。

 

520

中国語の「愛している」という意味の言葉「我爱你(ウォーアイニー)」が、数字の「520(ウーアーリン)」に発音上似ていることから、ネット上で愛の言葉として流行した。

日本でも一昔前に「ポケットベル」が流行り、数字のみに縛られた会話の中で「8181(バイバイ)」など数々の暗号が生まれた。これと似たような文化が、時代の最先端を走る中国で今現役で活躍している。

中国のネット上では2月14日に加え、5月20日もバレンタインデーとなった。11月11日が日本では「ポッキーの日」、中国では「独身の日(ダブルイレブン)」と呼ばれ新たなビジネスブームを生み出しているのと同じように、5月20日も様々なキャンペーンが開催される。