中国のECサイト運営シンクタンク「電子商務研究中心」が発表したデータによると、中国EC業界で上場した企業数は2019年5月時点で54社(B2B、B2C、越境ECなどを含む)にのぼった。上場時期から見ると最もIPOの多かった年は2014年と2018年で、特に2018年に上場した企業は全体の24%を占める。数字からもわかるように、近年はEC企業を含む中国ハイテク企業の上場が相次ぎ世界中の注目を集めている。しかし、このIPOブームの裏には企業の赤字経営や上場後に公募価格割れを起こすなどの問題が深刻化している。

2018年上場の中国EC企業は13社

2018年は拼多多(Pinduoduo)をはじめとするソーシャルEC企業の上場が相次いだ。「電子商務研究中心」が発表したデータによると、2018年に上場したEC企業は13社と最多記録を更新している。EC企業のIPOブームが起きたのは、2014年にアリババや京東がアメリカで続けて上場し注目を集めて以来である。

▲分野別EC業界上場企業数(出典:電子商務研究中心)

分野別に見ると、上場した54社のうちB2B企業は8社、B2C企業は23社、越境EC企業は7社、生活サービスEC企業(美団など現地生活情報サービスを提供する企業)は16社だった。B2C企業が最多で全体の42.5%を占める。次いで生活サービスEC企業が29.6%を占める。

▲証券取引所別EC業界上場企業数(出典:電子商務研究中心)
また、証券取引所別に見ると香港証券取引所での上場が17社と最も多く、次いで米国ナスダックが13社と2番目に多い。中国本土の証券取引所の上場基準が厳しいことより、以前から米国のナスダックやニューヨーク証券取引所で上場する中国スタートアップ企業が多い。2019年に入り、雲集や如涵などのEC企業もナスダックで上場した。
香港証券取引所は2018年4月から新政策を打ち出した。株式公開基準を緩和し、普通株より議決権が多い「種類株」を発行する企業の上場を認めた。この新政策の効果で中国本土のEC企業が香港で上場するケースが増えている。

赤字上場と公募割れ問題

拼多多など成立から3年も経たないような社歴の浅い企業が、IPOを通して注目を集めることに成功している。しかしその圧倒的な成長の裏では深刻な赤字経営などの問題を抱えているのだ。市場獲得のための巨額投資や急激な規模拡大は企業に大きな負担をかけ、利益を出せないまま赤字経営を続けている。さらに中国では融資の基準も厳しくなりつつあり、公募価格割れのリスクを犯してでもIPOによる資金調達で資金難緩和を目指す企業は少なくない。

その例として女性向けECプラットフォームを運営するスタートアップ「蘑菇街」やベビー・マタニティーEC事業を展開する「babytree」が挙げられる。両社ともに上場前から赤字経営を続けており、さらにインフルエンサーを活用したECプラットフォームを運営する「如涵」は、IPO後に株価を37%も落とした。

これらの企業は利益を生み出すことよりも、投資による規模拡大に力を入れる傾向がある。IPOに成功しても赤字問題を解決せずには投資者に利益をもたらすことができず、企業の長期的な発展は難しくなるだろう。