フランスのスーパーチェーンカルフールは中国事業の8割を年内中に中国企業Suning(蘇寧易購)に売却することが明らかになった。残りの20%の株式も売却意向にあり、最終的にカルフールの中国事業は完全にSuningの子会社となる可能性が高い。ここ十数年Eコマースの発展は伝統的な小売業界に大きな影響を与え、外資大手らは中国市場で苦戦に陥った。変化の激しい中国市場で耐え忍んできたカルフールの事業売却を惜しむ声は高まっている。
カルフール中国での発展経緯
カルフールは1995年中国市場に進出し、外資系スーパーチェーンとしては他の同業より中国進出は早かった。長年の経営により事業を拡大させ、2019年3月の時点で、中国において210軒のスーパーと24軒のコンビニを運営してる。
カルフールに次いでアメリカのウォルマートやドイツのMETEROなどの大手スーパーチェーンも相次いで中国市場へ進出した。しかし近年これらのスーパー大手の閉店ニュースがよく取り沙汰された。韓国のロッテもすでに中国市場から撤退している。
ウォルマートはテンセントや京東などの中国本土企業と協業する道を選んだ。
ネットショッピンングの発展により、伝統的な小売業界も生き残るための改革を始めた。カルフールは経営の重点をECサービスに移行し2015年にサービスを開始した。さらにテンセントと連携し、最新のテクノロジーを活用した新型店「Le Marche」(以前の記事のリンク)を開店するなど、淘汰されないよう改革措置を施した。しかしそれでも中国市場での業績は低迷しており、2018年には5.78億元の赤字を出した。
カルフール買収でSuningがオフラインの小売事業を拡大
家電販売会社からO2O企業に転換したSuningはオンラインとオフラインの事業を行なっている。近年Suningはオフラインの小売事業の拡大に力を入れた。2018年4月Suningはカルフール傘下のコンビニブランドDiaを買収し、273軒のコンビニをSuning自身のコンビニブランド蘇寧小店に改造する計画を発表した。さらに2019年4月に不動産大手万達グループ傘下の百貨店「万達百貨」の37店舗を買収し、Suningのショッピングセンターに改造した。
中国のEコマース市場の競争は激しくなっており、市場がどんどん頭打ちになりつつある背景下、オフライン市場はアリババなどEC大手の戦場となっている。Suningもオフライン市場に目をつけ、2019年内に15000の蘇寧小店開業の目標を発表している。カルフールは近年赤字経営が続いていたが、中国の大都市に実店舗を構えているのはSuningにとってかなりの有益である。
Suningはオフラインのコンビニなど、小さい規模の店は持っているが、大型ショッピングモールなどの進出は少ないのだ。カルフール買収を通して、大型店舗の業態を手に入れ事業をさらにを拡大していく狙いのようだ。