インド発の格安ホテルチェーンOYO(オヨ)は近年中国市場を含め世界各国で事業を拡大している。今年4月に日本でも上陸を果たし、現在は世界10カ国、500以上の都市でホテル・住宅事業を展開している。しかし2017年に進出した中国市場では大規模なリストラが報道され、その急速な発展成長に勢ブレーキがかけられたようだ。
OYOとは?
OYOは2013年にインド人・Ritesh Agarwal(リテシュ・アガルワル)によってインドで創立され2018年にインド最大級の格安ホテルブランドとなった。さらにその後時価総額が50億米ドルを突破しホテル業界のユニコーン企業となった。
2017年に中国市場に進出し、広東省で事業を始めた。最新のデータによるとOYOは、中国の320都市で1万ものホテルを構える。インドでの成功経験を中国で生かそうと考えているが、2019年に入ると、ホテルの品質管理問題やデータ偽造、中国本土のホテル予約サイトでのお店撤去などにより中国での事業は苦戦を強いられている。
OYO中国事業のビジネスモデルと課題
OYOの創業者は当時のインドの格安ホテルの設備状況や値段の格差が大きいなどの問題から、標準化したサービスを提供するホテルチェーンを目指してOYOを創立した。中国市場に参入後、個人運営の中小ホテルの加盟を増やすため、加盟費用を免除し注文のみに対しコミッションをもらう方針が加盟の敷居を大幅に下げた。さらにOYOはホテルに自社のオンライン予約システムを提供、ホテル管理の人材派遣など、ホテルの運営を支援した。運営側がロゴをOYOに変えるだけで加盟店になれたのだ。
敷居の低い加盟制度によりOYOは短い間にたくさんの中小ホテルの加盟を実現し、店の数を増やした。しかしその後品質問題が続出しホテルの衛生問題、設備の不具合なども多発し、ユーザーのレビューの評価は他のホテルチェーンと比べ著しく低い。
一方、OYOが発表した驚きのホテルデータには疑問の声が集まった。中国本土のホテルチェーンブランド1位の「如家酒店」の2018年のホテル数は2319軒、OYOの1万店舗には到底及ばない圧倒的な差がかなり疑問視された。
2018年中国ホテルチェーンランキング(出典:中国ホテル協会)
さらに2018年に中国2大オンラインホテル予約プラットフォームの携程(シートリップ)と美团(meituan)はOYOの成長に脅威を感じ、プラットフォーム上のOYOホテルを全て撤去した。そのためOYO加盟店の客数は激減し、利益に多大なる影響を及ぼした。その後加盟店のOYOとの解約が相次いだ。
今年6月の中国現地メディアの報道によると、OYOは一般職員の数を半分に削減する大規模なリストラを行う計画だという。OYO中国での拡大スピードはかなり緩和されてしまったようだ。
マイナスなニュースが続出しているOYOだが、今年5月には「OYOホテル2.0」計画を発表し、ホテル品質の向上、加盟店の利益増加を目標にあげた。さらにシートリップと美団とも連携を結び、ルートの利用料を支払い、この2社との競争状態を集結させるなど中国市場に合わせた作戦に変更させた。これによりどのような効果が生まれるか、チャイトピ!は引き続き最新情報をお伝えしていきます。