バイドゥに挑戦状、ByteDanceは自社の検索エンジンウェブ版を公開
Tik Tokを運営する中国テック企業「ByteDance(バイトダンス)」は自社検索エンジンのウェブ版を公開し、検索エンジン事業の本格展開を始めた。ByteDanceはついに中国検索エンジン市場最大手のバイドゥに挑戦状を出したのだ。
▲ByteDanceの検索エンジン(URLはこちら)
スローガン「あなたの欲しいものを検索する」
ByteDanceは2017年にすでに検索エンジンを展開するテック企業360(検索エンジン開発会社)から優秀な人材をヘッドハンティングし、検索分野への試みをほのめかしていた。そしてついに今回ウェブ版検索エンジンを公開し、ByteDanceは本格的な検索エンジン事業スタートさせたのだ。
実際、今年3月にByteDance傘下のニュース配信アプリ「今日頭条」は検索エンジン機能のテストを行った。検索結果は今日頭条自社のコンテンツ表示が多いが、他のサイト内容も検査結果に表示された。
▲今日頭条で最近中国でヒットしている中国映画を検索したら、今日頭条のコンテンツ記事以外に、映画チッケト購入サイトの猫眼も表示された。
日々激化するByteDanceとバイドゥの競争
ByteDanceの傘下で最も人気のあるサービスがTik Tokと今日頭条である。
その内、5億ものMAUを抱えるTik Tokは海外市場でも急速成長を見せ、何度もアプリストアDL数1位を獲得している。今日頭条は1.2億のMAUを抱える中国国内で人気なニュース配信アプリである。
この2つのアプリが抱える多くのユーザーがByteDanceの検索エンジン事業を後押ししており、バイドゥのユーザーを争奪する可能性は非常に高く、バイドゥにとってかなりの脅威なのだ。
また、ByteDanceはショートムービーというかなり細分化された市場において好成績を収めているため、その市場でのユーザー数の増加は頭打ちになりつつある。
変化の激しい市場環境で成長を保持するためにByteDanceはスマホ開発や検索エンジンなど様々の分野への進出を積極的に行なっている。
▲ByteDance系アプリ、左からTik Tok、今日頭条、多闪
中国の検索エンジン分野では、2010年にGoogleが撤退して以降、バイドゥが7割以上の市場シェアを占め長年に渡って最大手の座を保持し、中国を代表するテック企業として世界に知られている。
しかし、テンセントとアリババとともに「中国テック企業3強」のうちのバイドゥは近年勢いのある両者との差が開きつつある。2019年Q1の決算は上場以来初の赤字を出すなど、バイドゥは設立以来最大の危機に直面していると言っても過言ではないだろう。さらにコア事業である検索事業は過去に違法な医療機構の広告を掲載し、それを見たユーザーがその病院での治療行為により死亡した事件が起き、バイドゥ検索の評判は一層落ちた。
成長を求め検索エンジン市場にに進出したByteDanceと、バイドゥの摩擦は悪化するばかりである。2019年4月TikTokが百度から不正競争で9,000万元と30日間の謝罪広告を求められ、提訴した当日に、百度が同様の内容で逆に提訴する事件が発生し、両社は真正面から対決姿勢を示した。
テック企業3強にByteDanceがbaiduを取って代わるのか
バイドゥの伸び悩みとByteDanceの活躍が対照的な中、近い将来BATのBはbaiduからByteDanceに取って代わるのではないかという意見も出ている。
ByteDanceはバイドゥだけではなく、テンセントからも危険視されている。テンセントが国民的チャットアプリwechatでTikTokのシェアを遮断し、その対抗措置として、ByteDanceはソーシャル機能を取り入れた動画アプリ「多闪」をリリースし、テンセントの強みであるソーシャルアプリ分野に足を踏み込んだ。将来BAT3強はByteDanceの活躍により、大きく変化する可能性が高い。