成長し続ける中国EC市場規模とEC化率

▲2014年〜2019年H1の社会消費財小売総額(赤色)とEC取引総額(黄色)とEC化率(出典:iiMedia)

中国ではECの発達により、ネットで買い物することが国民の生活の一部と化している。ダブル11や618などのECセールはECの二大行事となっており、毎年すごい盛り上がりを見せている。
2018年に中国のEC(B2C)取引総額は9兆元を突破し、社会消費財小売総額の23.6%を占めた。
2019年上半期のEC取引総額は4.8兆元で社会消費財小売総額の24.7%を占めている。

中国EC取引総額の成長と共に、EC化率も上昇しているのだ。

中国ECプラットフォームのビジネスモデル

▲中国の主なECプラットフォーム(出典:iiMedia)

天猫(T mall)や京東など有名な統合型ECプラットフォームの他にも近年は生鮮、マタニティー用品など、細分化された市場をターゲットとしたECプラットフォームも相次いで登場している。現在の中国ECプラットフォームは以下のように分類できる:

■統合型:
タオバオ、京東、唯品会(VIPshop)、GOME(国美)、天猫、Suning(蘇寧易購)

■垂直型:
生鮮EC:フーマー(盒馬鮮生)、毎日優鮮など
医薬EC:健宫、1药网
自動車EC:瓜子二手车、优信
ベビー・マタニティEC:贝贝

■越境EC:
小紅書、網易コアラ

■共同購入EC:
拼多多

■ショッピング案内EC:
淘粉吧、返利网

 

中国主要ECプラットフォームの勢力

▲2013〜2018年EC各社の売上高(公開資料に基づきチャイトピ作成)

▲EC各社のMAU(公開資料に基づきチャイトピ作成)

中国EC市場は現在、アリババと京東2強が7割以上の市場シェアを占め、市場競争において圧倒的な独走を見せる中、独自の戦略で市場シェアを拡大している拼多多などの新勢力が後方から猛追している。

将来的にEC市場はさらに細かく細分化されていくだろう。

ECユーザー規模と特徴

▲2016年〜2020年のモバイル端末のECユーザー規模と予測(出典:iiMedia)

モバイル端末とモバイル決済技術の発展がECの浸透をより後押ししている。2018年のモバイルユーザー規模は6億人で、2019年には7億人を突破すると予測されている。増加率は年々緩和している。

ECユーザーの増加率は頭打ちになるだろう。したがってアリババや京東などの大手は近年、地方市場に目をつけ地方消費者をターゲットにしている。3、4線都市からのユーザーを増やそうとしているのだ。

▲2019年Q2各ECプラットフォームのユーザー性別割合(出典:iiMedia)

ユーザーの性別から見ると、タオバオ、天猫、VIPshopは女性ユーザーの割合が多い。そのうちVIPshopの女性ユーザーの割合は81.03%と1番多い。続いて天猫の女性ユーザーが67.14%と2番に多い。

京東は明白に男性ユーザーの割合が多い。男性ユーザーが全体の58.75%を占めている。

定着したライブ配信を利用したECプロモーション

 最近よく耳にする「ライブコマース」とはタレントやインフルエンサーを起用し、ライブ動画配信を通して商品を宣伝・販売する新しいEコマースの形である。

ライブ配信は現在中国のEC事業者の間でプロモーションの主流となっている。

大手ECももちろん、この手法を活用している。

■タオバオ:
2019年2月にライブ配信専用アプリ「淘宝直播」をリリースし、消費者はライブ配信を通しての商品購入などが可能になった。
2019年7月にはタレントの影響力を利用したライブコマース計画「启明星」を打ち出し、100人以上のタレントをライブ配信に参入させた。

■拼多多:
2019年5月に拼多多はショートムービーアプリ「快手」と連携し、快手で活躍する人気配信者を利用したプロモーション展開をスタートさせた。

 

まとめ:
14億人以上の消費者を持つ中国の巨大な市場において、ECはまだまだ発展段階にある。今後もモバイル決済技術や物流技術などのテクノロジーの発展と共に、中国EC市場はさらに拡大していくだろう。

一方、アリババや京東などEC各社の競争は日々激化しており、主たる戦場は都心部から地方に移った。これから地方市場はEC各社にとって、新たな成長エンジンになるかもしれない。

チャイトピ!は引き続き中国EC市場の最新情報をお伝えしていきます。