Luckin coffeeは都会をターゲットに、Luckinteaは地方をターゲットに

ブランド設立から2年も経たずに上場を果たした中国新興コーヒーブランドの「Luckin coffee(瑞幸咖啡)」に新しい動きがあった。
2019年7月に設立させた傘下であるお茶飲料ブランド「Luckin tea(小鹿茶)」の独立運営を発表したのだ。ブランド立ち上げ以降Luckin coffee のアプリの中でチーズティーなどを販売したりと一部のサービスに過ぎなかったが、これからは独立して店舗を運営していくという。

▲ロゴに子鹿を採用(親会社Luckin coffeeはトナカイをモチーフにしている)

Luckin coffeeは今年5月に上場を果たし、7月にLuckinteaを打ち出し、お茶飲料市場への進出を宣言した。そして2ヶ月後にLuckinteaの独立運営を発表した。このLuckin coffeeの速い拡大スピードに驚きの声が集まっている。

近年、インターネット企業は都会でのユーザー獲得が難しくなっており、市場は頭打ち化に近づきつつある。したがって地方市場へ目を付ける企業が増えた。
アリババや京東など大手企業も地方市場を次の成長エンジンとして注力している。さらに地方市場で成長を果たした拼多多や快手などの企業も業界での存在感を高めており、第3、4線都市の潜在力の高さを見せた。そしてLuckinteaも最初から地方をターゲットとし、都会で店舗を展開するLuckin coffeeの補完効果を狙う。

 

直営店+加盟店制度を採用、拡大スピードを重視

Luckinteaは直営店以外にパートナーを募集し、加盟店展開も計画している。Luckin coffeeは直営店しか運営していない。幾たびの資金調達により直営店の拡大に至っていたが、Luckinteaは、Luckin coffeeよりさらに速い拡大を実現させるため直営店以外にも加盟制度も採用したのだ。

▲Luckinteaのホームページにて加盟パートナーの募集が掲載されている

そして、Luckinteaの加盟制度は一般的な加盟制度と少し違う。
Luckinteaは初期の段階では初期費用や加盟費用を徴収しない。店舗が黒字になってから徴収を行うのだ。
加盟パートナーと共に市場を開拓し、新規ユーザーへの最初の1杯無料などのキャンペーンコストはLuckinteaが負担、開業場所選びや従業員の管理などは加盟店側が担当する。
そしてブランドマーケティング、サプライチェーン、倉庫、配送などに関しても全てLuckintea側が担当する。

Luckinteaが加盟のハードルを下げているのは迅速な店舗開業が目的である。大量の資金を投入し、急速に市場を拡大してきたLuckin coffeeはすでに中国で3000店以上の店舗を有している。Luckinteaも市場シェア取るためLuckin coffeeと同様に拡大のスピードを最重要視しているようだ。

 

巨額赤字を抱えるLuckin coffeeに新たな成長をもたらすか

Luckin coffeeはスタバを超え、中国最大のコーヒーチェーンになることを目標に挙げている。しかし急成長の裏には巨額の赤字が存在している。大幅値引きを売りにしユーザー獲得に成功したが、資金調達に依存し、黒字化への道はまだまだ遠いのだ。
そのためLuckin coffeeは新しいブランドであるLuckinteaを出し、地方への拡大を果たし、さらなる発展を図っている。

▲現在のLuckinteaの値段

しかし現在のLuckinteaの値段を見てみると20元以上と、コーヒーの値段と大差がない。地方市場のユーザーに受け入れられるのは難しいだろう。

日本でも最近流行っているドリンク専門店だが、中国のドリンク専門店市場ではすでにcocoや一点点、HEYTEAなどのブランドが市場シェアを占めており、新規参入者の市場開拓は容易ではないだろう。LuckinteaはLuckin coffeeのブランド力により、多くのパートナーを集め加盟店を増やすだろう。
しかしその後の利益化が最も重要な難しい所である。