ダブル11を控え復活を果たした口コミECアプリ「小紅書」
中国口コミECアプリ・「小紅書(RED)」が一部のアンドロイドストアでDLを再開した。2ヶ月前に法律違反疑惑によりアプリストアから強制削除された小紅書は、その後コンテンツ審査を強化し業務改善を行うと表明を出した。業務改善に2ヶ月以上費やすことになったもののEC企業にとって無視することのできない一大ビジネスイベント、ダブル11の開催に間に合うことができた。
小紅書は設立から6年もの間で、“海外旅行など中国人が自身の経験をシェアするコミュニティ”からEC化し、コンテンツ+ECアプリに転換した。そして中国IT業界大手2社のテンセントとアリババの支援を得て世間の脚光を浴びる事となった。現在のユーザー数は約2.2億人でそのうち70%が“90後(1990年代生まれ)”の若者である。
小紅書の急速な成長スピードと杜撰な管理状態
小紅書は2013年に上海にて、当時の中国人海外旅行者数の増加のトレンドを掴み、海外の買い物情報などをシェアするプラットフォームとして設立した。その後2014年に中国政府が越境ECに関する支援政策を出し越境ECの発展を加速させたことを背景に、小紅書は直ちに自社の越境ECサービスを打ち出し、情報シェアと越境EC事業を連結させた。
しかし越境ECの在庫管理リスクや同業のアリババや、京東とのユーザーの重複率の高さ、偽物商品販売などの問題や課題により、小紅書の自社EC事業の発展は順調とは言えない。
中国リサーチ企業「iiMedia Research(艾媒咨询)」のデータによると、2018年中国越境EC市場では、アリババ、京東、コアラ(2019年にアリババに買収された)3社が市場シェアの64%以上を占め、小紅書はのシェア率は約7%である。
中国越境ECについてさらに読みたい方はこちら: 2018年中国越境EC市場分析
2017年以降、小紅書はビジネスモデル転換を行い重心をEC事業からコンテンツ事業へ移し、2019年2月にメーカーとMCN(コンテンツ生産事業者)とインフルエンサーの3者に合作プラットフォームを提供し、コミッションを取った。
しかし、小紅書のビジネスモデルに様々な問題が発生した。旅行体験レビュー作成の代行ビジネスが生まれ小紅書の信用問題に発展した。さらに、コンテンツ審査の不十分さにより低俗であったり違法である内容の配信が続出した。2019年4月にはタバコの広告配信で摘発されたのだ。
中国当局のネット環境管理強化と小紅書の課題
中国当局によりアプリストアから強制削除され、業務改善を要求されたは小紅書だけではない。以前にも動画配信のbilibiliやニュース配信の今日頭条などが配信内容が法律違反に当たるとしてアプリストアから一時的に削除された。中国全体でコンテンツ配信業界に対する制限が厳しくなりつつあるのだ。
▲中国政府の制限措置受けたアプリ(公開資料に基づきチャイトピ!作成)
小紅書の課題はユーザーの成長速度に追いついていない管理能力である。実際、今年の5月に小紅書はアプリ上のインフルエンサーの質を向上させるため、規定に達してないインフルエンサーの資格を取り消し、広告掲載を受けられない措置などをとり、プラットフォームの運営強化に取り組んでいるが、効果は乏しいようだ。ダブル11を間近にし復活を果たした小紅書だが、今回の件からさらなる審査の強化が必要となってくるだろう。