2019年に入り、次世代通信ネットワーク5G世界規模で話題となった。韓国は4月に5Gネットワークを起用し、初めての5G商用化の実現国となった。中国国内でも、米国政府に禁輸措置を取られているファーウェイの技術に、期待が寄せられており、5Gに関する話題で盛り上がった。

中国政府が正式に5G商用ネットワークの起用を行なっていなかった時から、これから来る5G時代に向けて先手を打つため、中国の通信キャリアやスマホメーカー各社が様々な5G関連サービスや5G対応スマホを続々と打ち出した。
そして今年6月についに中国3大通信キャリアは当局から5G商用ライセンスを獲得し、5Gスマホプランを取り込んだ。まだはっきりとした詳細が明らかにされていない3大キャリアの5Gスマホプランだが、10月の現時点で既に予約人数が1000万人を超えたと発表された。消費者や事業者の5Gへの注目度や期待値が高いように見える中国だが、現在、5G対応スマホを使用しいる人は滅多に見かけない。

 

話題の5G対応スマホ、シェアはいまひとつ

1月から9月にかけて中国市場で公開された5G対応スマホモデルは11機種もある。5Gにビジネスチャンスを感じ、ファーウェイ以外にも中国の格安スマホメーカー・OPPO、vivo、xiaomiなどが5G対応機種を打ち出している。

▲公開資料に基づきチャイトピ!作成

しかし、メーカーらの積極的な動きとは対照に、消費者は5G対応機の購入に消極的である。中国信通院が発表したデータによると、2019年9月の5G対応スマホの販売台数は49.7万台で全体のスマホ販売台数の1.4%にしか及ばず、4Gスマホが98.8%でスマホ市場シェアの大部分を占めている。

 

中国で好調な5G非対応機iphone11

アップルが今年発売した最新機種iphone11は5Gに対応していない。
アップルは半導体大手「QUALCOMM(クアルコム)」と長きにわたって法廷闘争を行っていたため、5G向け半導体の調達が遅れていた。そのため発売前から最新機種の売れ行きを期待されていなかった。特に中国市場では5G対応機が続々と発売されていたため、5Gに対応していないiphone11の競争力は低いと予測されていた。
しかし、iphone11は発売当初から中国含め世界中の人気を集め、昨年同時期に発売されたiPhoneXR/XSの販売台数を大幅超える結果となった。iphone11の好調を受けてアップル社の株価は一時高騰した。

何時もスマホ技術の最先端を歩んでいたアップルがなぜ5Gのトレンドに乗らなかったのか。CEOのティム・クックは、5Gのポテンシャル高いが現段階では市場やチップの質はまだ成熟しておらず、5G対応の高品質スマホの開発はまだ困難だと明かした。

 

時間が必要な5Gスマホの普及

中国市場の5G対応機の大半はNSA(非スタンドアロンモード、現在の4Gの範囲内で一体運用)を採用している。真の5G性能を生かすためにはSA(スタンドアロンモード)が必要だ。中国政府は来年に大規模なSAモードの5Gネットワークを構築すると発表している。

また、中国の広い国土において5Gネットワークを普及させるには大量の基地局が必要である。現在中国は約8万個の基地局を開通しており、ごく一部の大都会での5Gネットワークの独立稼動を実現させたが、全国区で5Gネットワークを広げるにはまだまだ時間が必要だ。5G対応スマホもネットワークの環境整備が整ったのちに普及が加速するだろう。