2017年から中国でシェアサイクルが急速に流行り、北京や上海といった大都市から3、4線都市で町中に様々な色の自転車が見られた。
そしてシェアサイクルの成功ぶりから、充電器や傘など多くのシェアリングサービスが登場した。
その中で実質的な需要が低いシェア腰掛けなどといったビジネスはすぐに廃れた。
シェア自転車業界もmobikeとofoの大手2社が先行きを考えない消耗戦を繰り広げた結果ofoは資金難に陥り、mobikeは売却される結果となった。
あれほど話題になったシェアリングサービスの現状は果たして?
増えるシェアリングエコノミーの市場規模と代表的なサービス
シェアリングエコノミーは物やサービス、場所などを多くの人と共有する仕組みを指す。シェアサイクルなどのインターネットを利用した個人間の貸し借りを仲介する様々なシェアリングサービスが中国では相次いで登場しており、「シェア」という単語は2017年度の流行語にも選ばれた。
中国のシェアリングエコノミーの市場規模は年々増加しており、2018年で73580億元にものぼった。
▲2012〜2020年の中国シェアリングエコノミーの市場規模と予測(出典:iiMedia)
シェアリングサービスというと、現在では外出・宿泊・空間・物のジャンルが多い。各サービスの代表企業を以下にまとめた。
- 外出:DiDi(自動車)、mobike(自転車)
- 宿泊:自如(不動産賃貸)、途家(民泊)
- 空間:寰图(オフィス)
- 物 :街电(充電器)、魔伞(傘)
以上のサービス以外にも前述のシェア腰掛けやシェア化粧室などのサービスが存在する。
最初は流行に乗ったその新鮮さに好奇心で多くの消費者が集まったが一般的な需要が少なくその上管理の難しさなどの課題から、日常的な需要の少ないものは、たちまち市場から消えていった。
需要の高いシェアサイクルとライドシェア
▲各シェアサービスの浸透率(出典:iiMedia)
2019年9月までで、中国にて1番利用されたシェアリングサービスはシェアサイクルである。浸透率は44.1%にもおよび、次いでライドシェアが40.6%で2番目に利用されたシェアリングサービスである。シェア充電器は21.8%の浸透率で4位だった。
シェア充電器は登場当初、ただの便乗サービスと言われあまり期待がされていなかったが、今では安定したビジネスモデルである。業者らは利用料金を上げ利益の向上を目標にしている。
中国政府は管理を強化
中国政府は2018年からシェアリングサービスへの監督を強化し、一連の条例を打ち出した。さらにライドシェア業界に対して安全検査を行い、事業者に対して業務改善を促した。シェアサイクル業界においては廃棄された自転車の回収と処理、自転車台数の上限を決めるなどの管理強化を行なった。
シェアリングのバブル崩壊、利益を上げる経営へ
中国では新しいビジネスが登場すると、市場シェアを拡大するため事業者らが低価格戦略で短期の消耗戦を展開するケースが多い。
特にシェアリングサービス分野では、競合他社より低い値段でサービスを提供することで利用者を増やそうとしたが、この戦略は両者を苦しめる結果となった。資金調達に頼る他ない企業はいざ資金繰りが悪化すると、経営難に陥ってしまう。
そのような消耗戦後、なんとか生き残った企業らは本来の経営の形に戻り、利益を出すためサービス利用料金の値上げを行った。
ほぼ無料利用とも言えたシェアサイクルは今や1回の利用料金は1.5元ほどで、利用時間が増えると追加料金が発生する。計算するとバスよりも高い。
シェアリングエコノミーのバブル期が過ぎ、業界再編が行われた今、生き残ったの企業は数社しかない。
投資家もシェアリングサービス業界への投資を控えるようになり、事業者らの資金調達規模は低下の一途である。これからも資金は一部の大手企業にのみ集まり、中小企業の生存がますます難しくなると予想ができる。