ECモールとメーカーは成長をアピール

11月11日に、中国ネット通販最大規模のセールイベントダブル11(独身の日)で、アリババ 系のECサイト天猫(Tmall)は2684億元(約4兆1700億円)の売上で昨年の記録を塗り替えた。
11年間も続いているこの一大ご長寿セールイベントは中国EC市場の秘めたるポテンシャルをアピールしている。

ちなみに、セール開始わずか1時間3分で売上は1000億元(約1兆5600億円)を突破した。この数字はアマゾンジャパンの2018年間売上(約1兆5350億円)をも超えている。

経済成長が減速しているといわれている中国経済のバロメーターとも言える同イベントでは中国消費者の購買意欲や動向を伺えるため、世界から注目を集めている。
アリババによると、天猫とタオバオのアプリからダブル11イベントにアクセスした利用者数は5億人も超え、去年より1億人増えた。

EC大手のダブル11売上比較:

  • アリババ: 2684億元(約4兆1700億円) 11/1の当日のみ)
  • 京東(JD): 2044億元(約3兆1800億円)(11/1〜11/11の期間中)
  • 蘇寧(Suning):オンラインとオフラインを含めた全販路の注文数:前年比76%増
  • 拼多多(pinduoduo):未公表

アリババをはじめとしたセールを行ったECサイトらは相次いで自社の業績成長をアピールしている。しかし明確な売上データを出したのはアリババと京東の2社のみ。近年急成長し注目を浴びている拼多多はダブル11で中国EC2位の京東超えを期待されていたが、同社は数字より消費者体験を重要視し、売上データを公表していないため、売上は京東より低い可能性が高い。

▲ダブル11のスローガンが連なる京東オフィス(チャイトピ!撮影)

各ブランドの販売データを見ると、コスメ分野の成長が著しい。エスティローダー(ESTEE LAUDER)は予約販売開始25分で売上が5億元(約77億円)にも昇り、去年の1日の売り上げを超えた。
日本ブランドとしては、ユニクロがセール開始後16分で売上が5億元(約77億円)を超え、天猫のアパレルカテゴリートップ3にランクインした。

 

ライブ配信による売上急増、新たなマーケティング手法として定着

ライブ配信を利用したマーケティング手法は今回のダブル11で多くのブランドが採用した。瞬く間に著しい売上をもたらすライブ配信はブランドにとってとても魅力的な販促手段だ。そのため人気のKOLと契約し、ライブ配信中に広告を打つブランドが多く存在する。
アリババによると、ダブル11当日にライブ配信がもたらした売上は約200億元(約3100億円)、有名なライブ配信者薇娅の動画の同時視聴者数は最高で4300万人を超えた。

有名なKOLを利用したライブ配信の他に、現在アリババのライブ配信の9割以上がブランド自身が行うライブ配信である。アリババによると、ダブル11期間中に、1.7万のブランドがライブ配信を行った。そして5割以上の出店者がライブ配信を通して売上記録を更新した。

関連記事はこちら:
KOLを活用した中国ライブコマース、人気の理由と課題

アリババ以外にも、このセールで最高売上を出すため、京東や拼多多などの大手を先頭に、蘑菇街などの比較的小さなECプラットフォームもライブ配信を活用した。女性向けのECサイト蘑菇街では、ライブ配信による売上が前年比150%増加というデータが出た。

 

驚きの売上の裏に鈍化している伸び率への不安、大手らは未開拓の市場へ

ダブル11をさらに盛り上げるため、出前の餓了麼や旅行情報サービスのフリギーなど、アリババ傘下のほとんどのサービスがダブル11に参加し、セールイベントを行った。
その裏に伸び率が頭打ちになりつつあることが伺える。

2009年にアリババが最初に打ち出したこのイベントは年々新たな売上記録を出し、中国EC市場のさらなるポテンシャルを見せている。

しかしこの11年間の売上データを見てみると、伸び率が年々減っていることがわかる。今年の売上は前年比25.7%増加と、2009年以来の最低水準となった。

▲2009年〜2019年アリババダブル11の売上と伸び率(出典:亿邦动力)

数字の伸び悩みのプレッシャーを抱えたアリババや京東などは未開拓市場への注力を積極的に行っている。
拼多多の成功をみて、他のEC企業も地方市場への注力を強化している。アリババと京東は低価格や共同購入サービスを活用した地方市場のユーザー成長を図っている。

京東によると、今年のダブル11の新規ユーザー数の7割以上を地方市場のユーザーが占めているという。

米中貿易戦と経済減速を背景に、ダブル11は今年も記録を更新し、大盛況を見せた。しかし伸び悩んでいるEC各社はこれからも新たな成長エンジンの模索に注力していくだろう。
今、流行っているライブ配信などのマーケティング手法も成長のためのツールにすぎない。
拼多多が打ち出した「共同購入」が1つのツールとして各社に採用された事と同じである。
これからEC各社がどのような手を打っていくのかチャイトピ!は引き続き中国EC市場の最新情報をお伝えします。