最近、中国のネットではこのような言葉が流行っている。

「大学985、工作996、离职251、维权404」

一流大学(985は名門大学の代名詞)を出て、“朝9時から夜9時まで週6日”の就業環境で働き、退職すると会社の告発で公安に251日間拘束され、ネットで処遇を訴えると声名が消される(404エラーになる)、という一連の流れを示している。
大手企業による一連の不当なリストラ事件により、皮肉としてこの言葉が流行り出したのだ。

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大手企業の不当なリストラ処遇、社員の告発が大きな波紋を呼んだ

                                                      ▲ネットイース元社員の投稿、閲覧数は10万を超え

先月wechatのある個人アカウントが発表した文章が一夜にして話題となり、閲覧数は10万回を上回った。この文章を書いたのは中国ゲーム開発会社大手ネットイース(NetEase)の元社員である。内容として重病を患いネットイースに強制的にリストラされたことが事細かに記載されていた。そして上司や人事との会話の録音、やりとりのキャプチャーなども証拠として一緒に公開され、ネットイースへの批判が殺到した。

その後ネットイースは謝罪表明をし、同社員の治療に協力すると発表した。

この事件が解決したすぐ後、ファーウェイによる不適切なリストラ処遇についての告発が投稿され、再び大手企業のリストラ処遇に対して世間の注目が集まった。同投稿はファーウェイの元社員がリストラに遭い、合法な賠償金を受け取った後、ファーウェイから賠償金請求の脅迫をした、として告発され公安局で251日間拘束されたという内容である。

中国企業の誇りとも言えるファーウェイによるこのような冷待遇事件に世間がざわめいた。

▲ファーウェイの公式weiboでは「251」など皮肉を込めたコメントが多い

しかしファーウェイは謝罪表明を出しておらず、もし同社員が自分の権利を侵害されたと思っているのならファーウェイを告訴すればいいと強硬な態度を示している。
さらには、同事件に関する記事がすぐに削除され、ページを開こうとすると404エラーになり、ファーウェイの仕業ではないか、とされファーウェイに対する批判がさらにエスカレートした。

今年5月にアメリカ政府の禁輸措置により中国国内ではファーウェイに対する同情の声が寄せられ、支援する動きが高まっていた。また、CFOの孟晚舟がアメリカ政府の引き渡し要求でカナダ政府に拘束されてから1年が経った際、孟晚舟が書いた手紙が公開された。多くの支持と同情を集めたこの件から間も無くしての同事件報道に、世論は一変しファーウェイ製品を買わないなどの動きが出てきた。

996」からリストラ事件と、中国IT企業間に漂う緊張感

不景気により世界各国の大企業でリストラが相次いでいる。特にインターネット業界でのリストラが多いようだ。アメリカの人材会社Challengerが発表したデータによると、今年アメリカのIT企業は合計6万人ものリストラを行い、この数は去年の5倍にものぼる。

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中国の経済減速に伴い、IT業界も冬を迎え、人員削減を行なっている。京東や美団(meituan)を含めた有名企業らもリストラを行っている。アリババのような四半期決算報告で好成績を出し、成長を続けている大企業ですらリストラの噂が相次いでいる。

2019年度の流行語にも選ばれた就業環境を訴える言葉「996」や、今回のネットイースとファーウェイの事件が、中国インターネット業界の厳しい状況を物語っている。

リストラ自体が物議を呼んだのではなく、ネットイースとファーウェイの場合は不適切なリストラ処遇などが世論の焦点となっている。世論は常に弱者に同情が向く傾向にあるため、個人のケースは大大的に報道され、ネットで大きな反響を呼び、最終的に企業のイメージに影響を与える。謝罪をし、和解を選んだネットイースとは反対のファーウェイの強硬な態度は、物議を醸しているため、ファーウェイのこれからの対応に注目が集まっている。