中国ECトップ2位は不動のアリババと京東が座を保っているが、3位は唯品会から後発企業の拼多多に変化している。

唯品会(VIP.com)は2008年に創立し、割引商品販売とフラッシュセールスを通して市場を開拓し、創業から4年の2012年にニューヨークで上場を果たした。そして2015年時価総額が150億ドルに上がり注目を浴びた。そんな唯品会がいつの間にかEC勢力のトップ3位の座から姿を消し、今では時価総額もピーク時の3分の1に落ちた。

 

フラッシュセールスを皮切りに事業拡張を図った唯品会

唯品会は成立当初からフラッシュセールスECプラットフォームに特化した戦略を採用し、安価で比較的品質が保証できる商品を販売し、ユーザーを獲得した。当時伝統的なアパレル小売業界は在庫プレッシャーを担っており在庫処理の需要はとても高かったため、唯品会はフラッシュセールスを機にたくさんの女性ユーザーを獲得した。

2013年から唯品会は事業拡張を図りコスメ、ベビー・マタニティーなど様々なカテゴリーに進出し、フラッシュセールスに特化したECプラットフォームからアリババや京東のような総合的ECプラットフォームへ転換するつもりだった。さらには自社物流配送事業「品骏快递」を立ち上げ、EC事業の80%の配送依頼をカバーした。

▲2016〜2019年唯品会の収益と成長率の変化(決算報告に基づいてチャイトピ!作成)

しかし総合ECへの転換はうまくいかず、タオバオや天猫などのプラットフォームと同質化したことにより魅力は半減し、ユーザー離れが起きた。また物流事業への継続的な資金投入は会社の負担となった。そして2016年から2018年の間の唯品会の収益成長率は下がる一方となった。

 

テンセント、京東との協業による業績改善が期待されたが、未だに効果は出ず

2017年にテンセントと京東と唯品会の3社は戦略パートナシップを締結し、テンセントと京東が唯品会に8億ドルを出資した。その後も両社は唯品会の株式を追加購入したため、現在テンセントが9.6%、京東が7.6%の株式を所有している。

テンセントはEC分野でアリババと対抗するために唯品会を支援している。さらに男性ユーザーが圧倒的に多い京東にとって、唯品会が持つ女性ユーザーの多さはかなりのメリットである。

出資以外にも、テンセントは国民的なチャットアプリwechatに唯品会への入り口、京東も自社ECサイトのトップページに唯品会への入り口を設けた。

この2社との協業の成果は唯品会のユーザー成長に反映した。2019年Q2の新規ユーザーの中でテンセントと京東を通して獲得したユーザーは全体の23%を占める。テンセント、京東との協業は唯品会に一定のユーザーをもたらしたが、全体の成長率鈍化は根本的に改善していない状態だ。

 

フラッシュセールス戦略に復帰を決断、同時にオフラインへ注力

低迷している業績と株価を受け、唯品会は2018年に再びフラッシュセールス戦略に重点を置くことを宣言した。さらにコストを削減するため2019年10月には自社物流事業を物流企業の順豊(S.F.エクスプレス)に売却し、今後EC事業からの物流配送も順豊に依頼すると発表した。

▲上海のショッピングセンターに位置する唯品会のリアル店舗(撮影:チャイトピ!)

▲店内には男女の服・靴・子供用品・カバンなどカテゴリーは多く、現場は40代〜50代の消費者が多かった(撮影:チャイトピ!)

オンライン市場自体の成長率鈍化を受け、2017年からアリババや京東などがニューリテール戦略を打ち出し、オフライン市場への進出を行った。唯品会もオフライン市場に目を付け、2018年からオフラインへの投入を本格に始め、2019年7月にオフラインでブランド品の割引商品販売を行う「杉杉商業」を買収した。オンラインとオフラインと共にフラッシュセールス戦略を拡張していく狙いがあるのだ。フラッシュセールス戦略の復帰を受け、唯品会の2019年Q2とQ3の決算報告では収益の成長率は回復を見せた。(詳細は前出の収益と成長率の変化図を参考に)

しかし今後の唯品会のファラッシュセールス戦略拡張の道は容易ではない。すでにこの分野ではライバルが多く続出しており、京東やアリババなどの大手もフラッシュセールスサービスを打ち出している。唯品会の今後の発展はまだまだ困難である。

関連記事はこちれ:京東がアリババを独占で起訴、「二者択一」が消えない原因は