2019年のダブル11などの大型ECセールでは、有名国際ブランドが売上記録を塗り替え、さらなる成長を見せた他にも、中国国内のコスメブランド「完美日记」、アイスブランド「钟薛高」、飲料ブランド「元気森林」を含めた中国発の新興ブランドが有名ブランドを追い抜かしカテゴリー別1位に輝いたことで存在感を際立たせた。これらのブランドは設立から2、3年しか経っていない若手ブランドであるが、独特のマーケティング手法で市場を拡大させ、何十年も存続しているブランドを抜いて、業界上位に名を連ねた。

完美日记・钟薛高・元気森林、各社の特徴

  • 完美日记(Perfect Diary)

中国コスメ業界ではエスティローダー(ESTEE LAUDER)など国際ブランドが長年ハイエンド市場を占めていた。天猫ダブル11のコスメ売上首位も10年連続欧米ブランドが獲得している。
しかし今年のダブル11では、中国国産ブランドの完美日记が欧米ブランドを抑え、売上首位のコスメブランドとなった。そして完美日记はなんと2017年に創業したばかりである。
創業当初から最も流行っているSNSでマーケティングを展開し、小紅書やweibo、TikTokなどのプラットフォームでユーザーレビューといったコンテンツ製作を行い、知名度を広げていった。

▲口コミECアプリ・小紅書で243万フォロワーを持つ完美日记

 

  • 钟薛高(Chicecream)

2018年3月に設立したアイスブランドの钟薛高はこの3社の中で1番若いブランドだ。今年のダブル11ではセール開始18分で10万個ものアイスが売れた。
中国風の瓦のデザインはSNSで話題となり、その上KOLの宣伝効果が更なる注目を集めた。一般のアイスブランドの実店舗(リアル店舗)販売と異なり、钟薛高は家でいつでもアイスが食べられるように1度に大量購入する消費者をターゲットに、オンラインでの販売を主に行った。

▲独特なデザインで話題を呼んだ钟薛高(天猫旗艦店より)

 

  • 元気森林(GENKI FOREST)

名前を見ると日本のブランドに見えるが、元気森林は2016年に中国で創業された中国の飲料ブランドである。人々の健康への意識が高まっている中元気森林は、無糖飲料・スパークリングサイダーを販売し人気を集めた。

▲元気森林の人気商品「元気水」シリーズ(ホームページより)

元気森林もSNSでのマーケティングを展開し、小紅書やweiboの有名人によるレビューや推薦を通して、売上と知名度を向上させた。

 

若者消費者をターゲットに、共通するSNS媒体でのマーケティング展開

 この3社のターゲットはいずれも若い消費者だ。中国ネット利用者のうち、10歳~39歳の若年層は全体の65%をしめている。インターネット環境で育てられた90後は消費の主力軍となった。

90後(1990年代生まれ)ユーザーの多い小紅書やTikTok、ビリビリなどのプラットフォームはこの3社のマーケティング展開のための重要な媒体となった。テレビで広告をうったり、リアル店舗の増加より、若者が集まる媒体の有効利用がブランド成功の要因になっている。

▲小紅書上3社のレビュー

小紅書で元気水を検索すると3万以上の商品レビューが出てくる。元気森林の小紅書へのマーケティング投入が明らかである。

完美日記は小紅書では、有名なタレントから人気なKOL、フォロワーが比較的多い一般人までの自社商品の使用感想と推薦をコンテンツとして積み上げ、最終的にブランドの人気向上につなげた。

以前の主流であったテレビ広告より、小紅書、TikTokなどのコンテンツプラットフォームは若者消費者獲得の重要ルートとなっている。

 

細分化市場を狙いマイナー需要を満たす、もう1つの成功要因

中国国内の新興ブランドのもう1つの特徴が細分化した市場に向けた商品開発である。

大手らに独占された市場環境下で、同質化した商品で大手と競争するより、最初から小さいカテゴリーを狙い、他社と違う独特な商品を通して一定の消費者を獲得してから市場を拡大していったのが新興ブランドのもう1つの成功要因である。

元気森林は無糖を売りにし、体重や健康を気にする消費者を惹きつけた。ペットボトルには直接「糖ゼロ、脂肪ゼロ、カロリーゼロ」と書いており、他の飲料と異なる特徴をアピールした。コカ・コーラ社がトップに君臨している炭酸飲料大手らとの競争を避け、元気森林はスパークリングサイダーという細分化市場を皮切りにした市場開拓も展開した。