中国経済減速に重なる形で流行している新型コロナウイルス、企業の生産活動に大きいな影響を与えた。今でも感染は収束せず、企業の稼働がウイルス流行以前の水準に復旧するまでにはまだまだ時間が必要だ。
「封鎖管理」を行う住宅街が増えており、外出して買い物する人も急減、小売業界が悲鳴をあげている。一方、医療用品やオンライン教育など新型ウイルスを機に爆発的に成長を見せた業界も存在する。
ネットショッピングの需要が増加しEC業界にとってまたとないチャンスと言えるが、ECの血液である物流サービスの完全復旧にもまだ時間が必要であるため、Q1の業績に影響が出ることが予想できる。
飲食や観光業界に大きな打撃、中国政府が支援策を打ち出す
関連アンケート調査によると、中国の65%のショッピングセンターの客数は85%も激減した。それらショッピングセンターのうちの30%は営業を停止し、客数の急減により業績も約70%下がった。一部の飲食や旅行企業は倒産に追い詰められている。
中国政府は業界にサービスの品質保証金を一時返還し(観光業界)、国営企業が大家である中小企業の家賃を減免するなど支援策をとった。
中国EC業界にとってもチャンスでありながら挑戦でもある
新型コロナウイルスの感染拡大により、市民は日々家で過ごし、たくさんの企業が在宅勤務の体制で業務を再開した。ネットショッピングの需要急増により、フーマーや「毎日優鮮」など食品のECプラットフォームに注文が爆増し、出荷できなくなる事態も起きた。
2019年中国の海鮮、食料品EC業界はサプライチェーンの高コストで苦戦に陥り、資金難で倒産に追い詰められた企業が複数あった。アリババのフーマーや京東の「7fresh」などは親会社の強力な支援により激しい競争の中で勝ち上がったが、今でも黒字化を実現できていない。そんな食品EC業界は今回の新型コロナウイルスの深刻化により突然成長を迎えた。フーマーの春節期間中の注文数は普段の5倍となった。フードデリバリーのElemeの北京市の注文数は前年比9倍となった。
一方、感染の拡大と重なる春節休暇の延長により、人手不足と宅配サービスの停滞などはEC企業が直面した課題である。アリババ系の「三通一達」民間物流企業は少しずつ営業を開始したが、正常の水準に戻るまでにまだまだ時間が必要だ。
出店者の負担を軽減するため、アリババや京東などのプラットフォームは出店者に手数料減免などの支援策を打ち出した。
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アリババがつい先日公開した2019年10~12月期決算では収益が前年比38%増加、純利益が前年比58%増加と好成績を出したが、新型コロナウイルスの影響で2020年Q1の業績が大幅に下がる想定をしている。
ウイルス流行中の中国消費者調査と収束後の業界発展予測
▲新型コロナウイルス時期に中国消費者の消費変化
(kantarのデータに基づきチャイトピ!作成)
イギリスのリサーチ会社kantarが発表した新型コロナウイルス時期の中国消費者調査結果によると、新型コロナウイルス流行により、旅行、外食、エンタメの消費が大幅に減少した(70%以上の消費者は疫病収束後にこれらの消費を増やす意欲を示している)。一方で、オンラインエンタメや医療保険の消費が増加した。
▲新型コロナウイルス時期に中国消費者の買い物ルート
(kantarのデータに基づきチャイトピ作成)
新型コロナウイルスの時期の中国人の買い物ルートは、58%の消費者が近くのスーパーで買い物をする。次いで55%の消費者が総合ECプラットフォームを利用して買い物する。そして35%の消費者がデリバリーサービスを利用している。他にwechatを通して注文や専門ECプラットフォーム、ソーシャルECアプリを利用する消費者も多く存在している。
17年前に流行したSARSは2002年11月に初めての患者が報告されてから翌年の7月5日にWHOによって終息宣言が発表されるまでに半年以上かかった。
17年も経った現在、中国政府の情報開示の改善、各地域の厳格的な人員管理や医療技術の発展により当時より早い収束の見方も出ているが、消費者の外出頻度減少は今後3ヶ月間続く可能性が高く、中国にある日系企業を含め中国の企業らが長期戦と思って損失を最小化する措置を早急に取るべきである。オンラインルートへ重点転換、コスト削減など内部対策を進めながら、中国政府の企業向け政策変動も注目すべき点である。
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