ここ数年中国のテクノロジー企業らは医療分野においてテクノロジーを存分に活用してきた。新型コロナウイルスの流行ではオンライン医療の活躍に舞台を提供した。患者数の多い湖北省では医師や病室などの資源が足りず、オンラインでのコンサルや診断のニーズが急増。春節期間中に医療診断アプリのDAUは670万人にものぼった。
新型コロナウイルスの影響で2020年からオンライン医療業界が急速な発展を迎えるといわれている。

アリババ傘下の「アリヘルス」が様々なサービスを提供

健康管理と医療サービスを提供するアリヘルス(阿里健康)は新型コロナウイルス流行に伴い様々なサービスを打ち出した。

非常事態の医薬需要に応じ、複数の都市で医薬品のデリバリーサービスを展開した。さらにアリペイやタオバオのスマホアプリで診断サービスを無料で提供し、1000人以上の医者によるオンラインでの診察とコンサルを行った。同サービスに少なくとも1116万人以上のユーザーがアクセスした。インターネットを利用した診断や薬品販売のおかげで、病院に人が集まることによる二次感染拡大のリスクを引き下げた。

▲アリペイの健康コード

さらに、アリペイは市民の健康情報を管理するシステム「健康コード」を開発した。この「健康コード」は個人が入力した情報と政府の情報照合により、緑、黄、赤のコードが発行される。コードの色で公共場所の通行可否が判断されるのだ。2月11日から同システムを杭州で導入、その1週間後には中国100都市にまで広げた。

アリババの医療分野への野心

アリババはここ数年プラットフォームの構築や関連会社への出資を増やし、オンライン医療分野においての勢力を強めていた。その中で最も重要な事業がアリヘルスである。新型コロナウイルス流行真っ只中の2月12日に、アリババはアリヘルスの株を追加購入し、所持率を73.96%にまで引き上げるなど、アリババのオンライン医療事業への重視度が見てわかる。

アリヘルスの主なサービスは医薬品EC、オンライン医療、スマート医療である。
・医薬品EC:自社のECサイトで医薬品を販売し、複数の薬局と連携して、医療品のデリバリーサービスを提供
・オンライン医療 :ネット上で病院予約、初期診断などのサービス提供
・スマート医療:アリババのビッグデータ技術を医療機構のサービスに活用し、効率と質の向上に協力

アリヘルス以外に、アリババは複数の医療関連サービスを事業を展開している。
傘下のアントフィナンシャルは病院予約から支払いまでの一連の流れをオンラインで済ませることができるプラットフォーム「未来病院」を開発。アリババクラウドは医療のクライドソリューションを提供している。フードデリバリーサービスのelemeは医薬品の宅配サービスを提供するなど、アリババの医療分野への事業展開の強化は見て取れる。

またアリババは、国の健康診断関連企業の大手「爱康国宾」へ出資し、同社の筆頭株主となっている。同様に健康診断大手「美年健康」にも出資しており、中国民営健康診断業界では、アリババの勢力強化による寡占状態となっている。

疫病後のオンライン医療業界の発展予測

新型コロナウイルスの急速な感染拡大がオンライン医療の発展を促進したことに間違いはない。そして疫病終息後の医療関連サービスのユーザー維持、オンライン医療サービスへの消費の習慣化育成などはオンライン医療企業にとって今後の大きな課題である。

中国政府は去年医薬品の管理法を修正し、ネット上の医薬品販売への制限を緩和した。処方薬も条件付きでのネット販売を可能にし、オンライン医療業界の発展を後押しした。アリヘルスは近年赤字経営が続いていたが、これからは有利な政策と市場環境の変化による会社の収益状況の改善が期待できる。