中国テスラと呼ばれる電気自動車メーカー・NIO(蔚来)は2月25日、安徽省の省都である合肥市の政府と提携協議を行い、合肥市に本部を建設することが決まった。さらにNIOは地元政府から100億元(約1567億円)の資金を調達した。これを受けNIOの株価が高騰。
市場環境が厳しくなり資金繰りが悪化していたNIOにとって今回の資金調達の成功は会社の存続の命運を握っている。

なぜ安徽省を?

NIOの現在の本社は上海にある。では、なぜ経済や人材面でも到底上海に及ばないであろう安徽省に拠点を移し本部を建設するのだろうか?

NIOは会社創立からハイエンド市場をターゲットに、2017年にモデルES8を初めての量産車として正式に販売。しかし市場環境が悪化した上、車の発火事件、リストラなどのネガティブなニュースが度々世間を騒がした結果、苦境に陥り、資金の確保に必死になっていた。2019年には北京の投資会社や浙江省湖州市政府との資金調達関連の交渉に相次いで失敗した。
そんな中今回、やっとの思いで安徽省合肥市との提携協議に達したのだ。会社の存続に関わる状況下で、NIOに選択の余地はないのだろう。

また、NIOは元々安徽省と根強い関わりがあるのだ。
製造工場を所持していないNIOは以前から安徽省の自動車メーカー「江淮汽车(JAC)」にES8、ES6の代理製造を依頼してきた。
2018年NIOは上海市政府と交渉し、上海で自社工場を建設する計画を発表したが、その後テスラがNIOを追い越し、上海市政府と協議を行った結果、NIOに代わり工場建設のプロジェクトを手に入れたのだ。当時資金難が合い余ってNIOは自社工場建設計画を断念したのだ。今回安徽省政府との協議の最中、NIOは最新モデルのEC6の代理製造も「江淮汽车」に依頼する計画を発表した。

▲NIOの最新量産車EC6(ホームページより)

誕生から多くの注目浴びてきたが厳しい状況下にあるNIO

NIOは社歴6年余りの若い会社だが、電気自動車販売台数中国1位の比亜迪(BYD)より頻繁にニュースに取り上げられ多くの注目を浴びてきた。
NIOはテンセント、京東、Hillhouse Capital Groupなどの有名な企業が共同で創立し、バイドゥ、セコイア・キャピタル、レノボなど有数の投資機構からの投資を得た。創業開始は同業他社よりかなり遅れを取っているが、創設以降たびたび話題になっている。さらにBYDのローエンドに力を入れるコンセプトとは反対に、NIOは最初から高級市場をターゲットにしており、中国のテスラになるのか、と多くの期待を背負ってきたのだ。

電気自動車業界では、高価な動力システムが業績の足かせとなり、企業らの中国政府の補助金への依存度は極めて高い。しかし2019年3月から中国政府は補助金を削減し、最終的に廃止する方針を決めた。今まで政府の優遇策に依存してきた電気自動車メーカーらにとって大きな負担になるのは明らかである。NIOは2019年下半期にコスト削減措置をとり、最新決算(2019年Q3)では、売上高18億元(約286億円)で、前年比25%増加となり、市場予測を上回った。
しかし巨額な赤字状態は改善できず、CEO・李斌も「厳しい状況は3年から5年続く見込み」と表明している。

そんな逆境の中、テスラの上海工場の生産が開始され、今年1月にはモデル3が納車した。その異例すぎるスピードに業界が驚いた。その上テスラは中国での販売価格を下げるなどの措置を取り、NIOなど中国本土の電気自動車新勢力に大きな圧力をかける形となった。

安徽省政府との提携および資金調達により、NIOは資金不足という崖淵の状況下から立ち直ることができた。電気自動車市場の将来に光が差した一方、現在の関連技術の不完全な普及と、安定しない資金確保先と、懸念される課題が残るNIOらにとって引き続き資金調達が必要だろう。

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