▲中国企業2019年Q4決算(各社決算報告に基づきチャイトピ!作成)
アリババ、市場予想を超えた収益と純利益
・収益1614億元(約2兆5000億円)前年比38%増加(市場予想上回る)
・純利益523億元(約8200億円)前年比58%増加(市場予想上回る)
・モバイルMAU 8.24億人、アナリストの予測超え
アリババは依然として成長を続け、自社の未だ秘めている潜在能力の未知数さを世間に示した。中国国内EC市場の成長は停滞気に陥り、これからの成長見込みが厳しいと言われている中、アリババの収益と純利益は共に市場予測を超えた。
EC事業の収益は1104億元と、全体収益の88%を占め、安定した利益獲得を見せている。
地方市場のユーザー成長が全体のユーザー成長に寄与し、モバイルMAUは8億2000万人にものぼった。
タオバオのライブ配信サービスも好調を見せており、2019年12月の同サービス経由の取引額は前年比100%増加となった。ライブ配信が出店者にとって最も効率の良いマーケティング方法となりつつある。
企業向けSNSアプリの钉钉(ディンディン)は新型コロナウイルスの影響でアクセスが急増し、今年の2月頭のDL数は初めて中国の国民的チャットアプリwechatを超えた。钉钉はアリババのSNS分野での最も代表的なサービスとして、この分野においての最大手であるテンセントに対抗できるのではないかと大きな期待を集めている。
アリババはその一方で、新型コロナウイルスの影響および出店者に対してプラットフォーム使用料免除の支援策を打ち出したことにより、2020年1〜3月期の業績が大幅に下落する可能性があると予想している。この業績予測を受け、アリババの株価は決算発表後に小幅下落した。
京東(JD.com)、新規ユーザー数が初めてアリババを超えた
・収益1707億元(約2兆6200億円)前年比26.6%増加(市場予想上回る)
・純利益36億元(約550億円)黒字転換(市場予想上回る)
・年間MAU3.62億人(Q4の新規ユーザー数アリババ超え)
京東の会長・劉強東は去年の12月以降、グループの少なくとも12社の子会社の管理職を退任し、権利をより若い世代の管理者に委ねた。京東の1年間の決算報告と株価変動から見ると、若い世代の管理の元、京東の成長は安定した軌道に戻り、株価も高騰している。
新型コロナウイルスの影響について、小売事業CEO・徐雷は、「全体的に京東の自営モデルが今回の疫病期間中に高い成績を得ている。カテゴリー別で見ると、生鮮食料品、健康商品が特に高い」と表明した。ウイルスの影響で中国物流業界の業務再開が先送りになっている中、自社物流を持つ京東の優位性は明らかである。
新型コロナウイルスの影響もあり、京東は2020年Q1の収益を10%増加と予測している。
ネットイースのコア事業への資源集中戦略、成功
・収益157億元(約2459億円)前年比9%増増加(市場予想上回る)
・純利益31億元(約485億円)前年比73%増加(市場予想上回る)
・ゲーム事業の収益116億元(約1817億円)前年比5.3%増加
ゲーム開発、オンライン教育など様々な事業を展開しているIT企業「ネットイース(NetEase)」は2019年に、赤字のプレッシャーを抱える越境EC事業のコアラをアリババに売却し、ゲーム開発などのコア事業に資源を集中させる戦略をとっていた。
Q4決算の増収増益を受け、ネットイースの株価は高騰、時価総額はバイドゥを超え、中国インターネット業界第5位に上りつめた。
中国政府のゲーム審査が厳しくなった背景下にも関わらず、ネットイースのゲーム開発事業は116億元の収益を得て市場予想を上回った。さらに海外市場での収益が全体の10%を超え、日本を含めた海外市場でのさらなる成長が期待されている。
また、オンライン教育事業の有道(youdao)の収益が前年比78%と急増、オンライン音楽事業の網易雲音楽(NetEase Cloud Music)のマネタイズ化が順調に進み、Q4の収益は過去最高を記録した。
新型コロナウイルスによりゲームやオンラインコンテンツなどのサービスは成長を後押しされた。ネットイースのオンライン教育事業が新たな成長エンジンとなる可能性は大いに高い。
バイドゥ、検索エンジン事業が回復
・収益289億元(約4500億円)前年比6%増加(市場予想上回る)
・純利益63億元(約980億円)、前年比205%増加(市場予想上回る)
・クラウドサービスをiQIYIの会員サービスが寄与
バイドゥのコア事業である検索エンジン関連サービスの収益は217億元で前年比6%増加と、2019年Q2〜Q3で連続下落していた事業が今期では成長した。
また、クラウドサービスやスマート設備開発事業の収益も順調に増えており、全体収益の27%を占めている。
中国インターネット業界3強のBATのうち、バイドゥは近年アリババ、テンセントと比べ衰退の一途を辿っていた。2019年Q1決算では上場後初の赤字を出し、アリババやテンセントとの同地位を失ってしまうのか、と懸念されていたが、バイドゥはコア事業に注力、コスト削減などの措置をとり、業績は回復しつつある。
また、新型コロナウイルスの時期に、バイドゥ検索サービスの利用者数の伸び率は30%を記録した。1日あたり10億人がバイドゥでウイルス関連情報を検索した。
しかし検索エンジンへのアクセス増加イコール収益増加というような安易なものではない。バイドゥは2020年Q1の収益を5%〜13%減と予測している。
weibo、広告事業不振、収益源の単一化が改善できず
・収益4.6億ドル(約496億円)前年比3%減少
・純利益9510万ドル(約102億円)前年比43%減少
・主な原因:広告事業、付加価値サービスの収益減少
収益と純利益の伸び率が共にマイナスとなったのは上場以来、初である。weiboは決算発表を受け、株価が下落した。
広告事業はweiboの最も重要な収益源である、今期でも全体収益の87%を占めた。しかし中国経済減速に伴う広告市場環境の悪化により、weiboの厳しい状況はまだ回復の兆しが見えない。
weiboは2020年Q1の収益を15% ~20%減少と予測している。
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