バイトダンス(ByteDance)が提供しているサービスTikTok(中国版:抖音)は2月23日、アプリのEC機能を調整し、配信者がフォロワーを増やすための広告を打つ機能を停止した。この調整により、大量の広告メッセージを個人ユーザーに送る行為ができなくなった。

TikTokは世界に5億人ものユーザーを抱える、最も人気なスマホアプリである。2018年にEC機能をリリースして以降、TikTokでコンテンツを見ながら買い物を楽しむユーザーが増えた。今回の機能調整は運営会社バイトダンスのEC事業見直しだと見られる。

アリババのサイトにユーザーを誘導するTikTokのEC機能

▲TikTokのEC機能

2018年5月TikTokはアリババのタオバオと協業し、配信者がTikTokで商品を紹介し、視聴者が商品リンクをクリックすると、タオバオ店舗へ移動し直接商品を購入できる機能をリリースした。このEC機能は配信者にマネタイズ手段を提供した。たくさんのタオバオ店舗がこの機能を活用しており、店舗の売上に貢献している。

しかし2020年に入り、TikTokは頻繁にEC機能に対して規則調整を行った。1月に商品販売関連の動画投稿に制限をかけ、フォロワー数の少ない(1000人以下)配信者は週に1回のみEC機能を利用できるよう制限した。さらにコスメや生鮮食料品などのカテゴリー商品を厳選し、一部の商品を淘汰した。

これらの動きから、TikTokが第3者ECプラットフォーム(タオバオ)へのユーザー導入を最終的に停止し、自社ECプラットフォームの構築に注力するのではないかと推測できる。

TikTokはアルゴリズムを元に、ユーザーにコンテンツを表示している。そのためEC関連の動画を支援するためのコストを負担しているわりに、得られる技術料がわずかしかないのだ。
TikTokのEC機能から最も利益を得ているのは配信者とタオバオである。
さらに、商品販売の動画が増えると、ユーザー体験に影響を与えるのは間違いない。バイトダンス的にTikTokがショッピングアプリになってしまうのは避けたいのだろう。

バイトダンスのマネタイズ化の試行錯誤

バイトダンスはTikTokや今日頭条などの人気アプリを通して世界中に名を轟かせ、2019年世界ユニコーン企業ランキングではトップ3にランクインした。
保持している大量のユーザーを会社の収益につなげるのがバイトダンスの大きな課題だろう。

インターネット業界では、人気サービスがもたらすユーザーのマネタイズ化には広告、EC、ゲームの3つの手段がある。

TikTokとニュース配信アプリの今日頭条はバイトダンス傘下の中で最も有名なアプリである。この2つのアプリによる広告収益がバイトダンスの主な収益源である。しかし経済減速に伴う中国広告市場の不振により、中国広告関連会社が苦境に陥っている。そんな中、バイトダンスは他の収益源を探り事業拡大を図っている。ゲームとECが収益源の主な方向性である。

バイトダンスがすでにカジュアルゲームの開発を進めているが、テンセントやネットイース並みの人気ゲームの開発には成功していない。

▲現在の「値点」アプリは運営停止になっている

ECの方でも、TikTokにEC機能をつけた他に、2018年10月に自社ECアプリ「値点」をローンチした。ローエンド市場をターゲットに高品質・低価格商品を売りにした。
タオバオにユーザーを誘導するパターンと違い、サプライチェーン構築の過程に自社のEC事業を組み込もうとしたが、このアプリはローンチから1年以上経った今、大きな成果を得られることなく世間の話題から消えてしまった。

バイトダンスにとって、自社EC事業の構築は容易ではない。物流や決済法、ユーザーの習慣育成など課題も多い。アリババと京東の2社がすでに市場を大半を占めており、可能性が残されている地方市場も拼多多が占拠している状況下、新たな突破口を見つけない限り、バイトダンスのEC事業開拓は難しいだろう。

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