企業が既存システムをパブリッククラウドに移行する動きが加速しており、クラウド市場が急速に拡大している。
日本を含めた世界市場においてアマゾンが提供するAWSは3割以上の市場シェアを占めており、世界中で最も利用されるクラウドサービスである。
しかし、中国という特殊な市場では状況が少し異なる。
Alibaba cloud独走、AWS苦戦、美団が撤退発表
中国のクラウド市場はアリババなどの国内IT企業により寡占されており、2013年に中国市場進出を宣言したAWSの発展は決して著しくない。
イギリス市場調査会社Canalysが発表したデータによると、2019年Q4の市場シェアではアリババが46.4%のシェア率を獲得し2位のテンセントと大きな差をつけた。
AWSはバイドゥに追い越され、トップ3から転落し「その他」にまとめられる結果となった。
EC事業ですでに中国市場を撤退したアマゾンはクラウド事業でも中国本土の大手企業らとの戦いに苦戦を虐げられている。
▲2019年Q4中国クラウド市場シェア(出典:Canalys)
アリババは2009年にクラウド関連開発を開始した。
2013年にクラウドサービスを公開したテンセントや、2016年にクラウドコンピューティング戦略を発表したバイドゥと比べるとかなり先手を取った形となった。
毎年中国ネット通販最大イベント「ダブル11(独身の日)」に、ECサイトが正常に安定した動作している基盤はalibabacloudである。2019年のダブル11のピーク時には毎秒54万4000件の取引を処理していた。
ダブル11が築いてきた驚きの売上数字の裏にはalibabacloudの存在がかなり大きい。
クラウド市場の急速な拡大に伴い、企業の新規市場参入が相次いだ。現在中国クラウドサービス市場の事業者は100社を超えている。
しかしクラウドサービスの運用には莫大な資金投入が必要でその上、技術難易度の高さなど、多くの課題があり、収益化は簡単ではない。
▲美団雲のサービス停止通知(ホームページより)
フードデリバリーや口コミサイトなど生活関連サービスを提供する美団(meituan)は2013年にパブリッククラウドプロジェクト「美団雲(meituan open services)」を開始し、2015年には独立運営に転換しサービスを開始した。さらに2019年12月に美団雲は資本金を1000万元から8億7000万元に増やした。この動きは美団がクラウド事業を拡大するつもりだと推測されたが、まさかの3ヶ月後に、美団は2020年5月いっぱいでサービスを停止にすることを発表した。
新型コロナをチャンスにしたクラウド事業者らの迅速な対応
国際社会において感染が続いている新型コロナウイルスは世界中の企業与えた衝撃は大きい。そんな中、2020年Q1の収益は大幅に減少すると予測を出した有名な企業は数多く存在する。一方、クラウド事業者にとってコロナはビジネスチャンスだと言えるのだ。
Alibaba cloudが世界中の病院にAIによる新型肺炎の診断技術の無料提供を発表。20秒で疑似病例のCT診断を完成させることに成功した。正確率は96%にのぼり、医療機構の診断効率の大幅向上が期待できる。
Tencent Cloudはwechatユーザーにリアルタイムの感染データを提供している。さらに去年末にリリースしたオフィスツール「テンセント会議」は瞬く間に活躍の機会を与え、2ヶ月でDAUは1000万人を超えた。
テンセントの2019年度決算によると、Tencent Cloudの年間収益は170億元で前年比86%急増し、グループの収益増加に貢献した。
これからの中国クラウド市場では資源が大手らに集中し、後発の市場参入者の環境がますます厳しくなることが予想できる。先手を打ち、業界トップの座を手に入れたアリババと実力者テンセントのこれからの競争が楽しみである。
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