世界のユニコーン企業番付において中国のユニコーン企業数が昨年初めて、アメリカを上回った。さらにベスト3を全てを中国企業(アントフィナンシャル、バイトダンス、滴滴)が占め、中国スタートアップ業界の賑わいを世界に示した。
スタートアップの発展史を読み解いていくと、2015年が特別な1年だったことがわかる。米リサーチ会社「CB Insights」によると、2015年世界中のベンチャーキャピタルの投資額が1285億ドルにのぼり、前年比44%増加で2000年来最大の伸び率を記録した。
そのうち中国やインドなどのアジア圏での投資額が全体の30%を占めた。
整った投資環境下の中国市場で、話題に上るほどのユニコーン企業が相次いで誕生した。将来に高い期待を抱かれたこれらのユニコーン企業が5年経った現在、果たしてどうなっているのだろうか?
IPOを果たしたユニコーン企業
▲上場したユニコーン企業らの時価総額
(IT桔子のデータに基づきチャイトピ!作成)
2015年の中国ユニコーン企業ランキングで、新規上場を果たした企業は少なくとも15社ある。しかし上場以降、時価総額が5年前の評価額を下回った企業は10社もあるのだ。
中華スマホを代表するうちの一社、シャオミは昨年香港で上場以降、公募割れになり、現在の時価総額は5年前より20%減少した。
ベビーマタニティーEC事業を展開する宝宝树(babytree)は上場後の会社発展がなかなか上手くいかず、赤字経営が続き、収益も減少した。そして株価が下落し、現在宝宝树の時価総額は5年の評価額より72%も激落した。
倒産したユニコーン企業
上場に成功し世間の注目を集めた企業もあれば、経営不振に陥り、倒産に追い込まれた企業もある。
2014年に創立したオンライン不動産仲介企業の「爱屋吉屋」は伝統的な不動産仲介業界を変える目標を立て、18ヶ月で評価額を10億ドルに上げた。同社は創業初期段階でユーザー獲得のために莫大な補助金を投入した。しかし中国インターネット業界では、よく活用されたこの補助金作戦はオンライン不動産仲介市場では通用しなかった。
経営は悪化し、リアル店舗の展開で挽回しようと試みたが、2019年2月にはホームページの運営が停止し、ユニコーン企業ランキングから名前が消えた。
激しい市場競争、売却や合併の道を選ぶ企業も
競合と市場シェアを奪い合い、補助金作戦などの消耗戦を展開したのち、合併や売却を選択したユニコーン企業も複数存在する。
アメリカ配車サービス大手の「Uber」は2014年に中国進出し事業を展開したが、本土企業と激しい競争をし、最後は滴滴に売却され、ユニコーン企業ランキングから姿を消した。
他にもデリバリー大手の「Eleme」も2018年にアリババに売却され、配達企業「達達」も2016年に京東の同事業を行う「京東到家」と合併した。
上場しないユニコーン企業ら
▲上場してないユニコーン企業
(IT桔子のデータに基づきチャイトピ!作成)
売却や合併を行った企業以外に、上場せずに成長し続けるユニコーン企業も多数ある。そしてこの5年間で評価額が100%も増えた企業が少なくとも10社あるのだ。
アリペイの運営会社「アントフィナンシャル」の評価額は1600億ドルを超え、世界最大のユニコーン企業までに成長した。何度も上場が噂されてきたが、アントフィナンシャルは上場を急いでいないようだ。
ジャック・マーは上場しない理由として、フィンテック業界の未消化のチャンスが多いことを挙げた。これら重要なチャンスをつかむことに注力するため、近い未来上場を予定していないと表明している。
TikTok を運営するバイトダンスの現在の評価額は5000億元にのぼり、5年前より2780%も爆増した。上場しない理由について会長の張一鳴がメディアの取材で、上場するにはまだ時期が早いとコメントしていた。
また、配車サービスの「滴滴」も中国市場において7割のシェアを占め、ほぼ独占状態であり、評価額も5年前より300%増加している。
2018年に上場計画を報道されたが、その後運転手による乗客殺害事件が相次いで起きたため、サービスの安全を懸念し、上場スケジュールも先送りとなった。
ユニコーン企業業界の分布変化
▲2015年(左)と2020年(右)中国ユニコーン企業の業界分布
(IT桔子とiiMedia Researchのデータに基づきチャイトピ作成)
2015年のユニコーン企業ランキングでは、EC、フィンテック、自動車関連サービス分野のユニコーン企業が全体の52%を占めた。5年後もこれら業界の発展が最も期待されており、投資家達から熱い視線を向けられている。
AI関連のユニコーン企業がこの5年間で著しく増え、2020年には19社まで増え全体の19%を占めた。AI開発が近年中国市場のホットな話題となっている。
2017年に中国政府が初めてAI開発を政府活動報告に記入し、AI業界の発展を積極的に推進し始めたのだ。業界で有名な、AIユニコーン企業「寒武纪科技」も2015年以降に誕生した企業である。
まとめ
5年の月日が経った中で、中国ユニコーン企業ランキングは大幅な変化をしてきた。事業発展に注力し、ますます規模を拡大してた企業もあれば、成長が停滞し淘汰された企業も存在する。
ユニコーン企業にとってIPOは1つの過程にしかすぎない。IPOを達成した以降も企業には様々な課題を待ち受けている。
チャイトピ!は今後も中国ユニコーン企業の最新情報を届けます。
ソース: https://www.tmtpost.com/1493181.html https://www.iimedia.cn/c400/70433.html