中国本土ではコロナが収束を見せはじめ、5月頭のメーデー連休(5月1日~5日)の消費データが中国経済の回復状況を反映させた重要な数字となった。
中国各地政府は特定の消費活動に使用できる「消費券」を市民に支給するなど策を打ち出し、経済回復の後押しを行っている。コロナの復活を警戒し長距離旅行や出張などを控えつつ市民は消費回数や金額を増やしてきた。
チャイトピ!は今回、中国政府部門や大手企業が発表した関連数字をまとめてみた!
未だ解除できない観光制限、時間が必要な業界完全復旧
中国政府観光部門によると、メーデー連休期間中に、国内観光者数は延べ1.15億人で、前年比41%減少。観光収入は475億元(約7,120億円)と、前年比59%減少した。コロナは収束しつつあるが、観光スポットの人数や移動距離の制限により、短距離旅行が主である。
一方、4月の清明節連休と比べると、メーデー連休の観光人数が165%増加。観光収入は475%急増している。長い間在宅を余儀無くされた中国人の旅行への消費意欲は増加しており、その上大手旅行会社がライブ配信によるサービス販売など販促手段を積極的に執り行い、高い割引を行い、旅行関連消費の促進を促している。
セールイベント開催、大手EC売上30%増加
中国商務部門によると、コロナの影響で小売企業のメーデー期間中の売上は前年より6.7%減少したが、オンラインの販売は好調を見せた。有形商品のEC売上は前年より36.3%成長し、一部大手EC企業の売上は前年より30%伸びた。
ECプラットフォームらはセールイベントを開催し好調な業績を残したのだ。アリババのイベントはスタートから1時間で売上は去年の1日分を超えた。京東(JD.com)の5月5日の1日の家電取引額は前年同期の3倍となった。他にも新興EC勢力の拼多多は補助金を打ち出し、消費者の買い物意欲を促した。
また、アリババの越境ECプラットフォーム天猫国際の連休期間の輸入品売上は前年比71.8%増加。そのうち日焼け止めの売上は前年比337%と急増した。韓国の美容器や日本のフェイスバックなどの売上がとくに良好で、それぞれ50%増加した。
好調なフードデリバリー、リアル店舗の夜飯売上成長が目立つ
全体的な飲食関連消費は前年より30%減少したが、オンラインの飲食消費は連休直前の1週間より47%成長した。フードデリバリー大手の美団は地方政府と連携し、武漢や天津などの都市で商品券を打ち出した。武漢市のデリバリー売上は連休直前の1週間より113%増加した。
また、連休期間中のザリガニや串カツ、火鍋などリアル店舗の夜食の売上が特に目立った。その中でもザリガニの売上が先月より97%急増。Wechat Payを利用した夜食の消費額も先月より447%伸びた。そして武漢市の夜食消費額が先月比270%増加した。
貿易が低迷する中、まさかの4月輸出のプラス成長
中国1-2月の輸出は前年比17.2%減と2019年2月以来の大幅な落ち込みで、輸入も4%減少した。その後3月の下げ幅は縮小し貿易状況は改善した。
国際的コロナ感染拡大による隔離措置を取る国が増えた影響が4月の中国輸出入に反映されると予測されたが、中国税関が発表したデータでは、4月の輸出額が意外にもマイナスからプラス成長に転換した。貿易企業の営業再開の後押しと、防疫物資の輸出を通して新しい市場の開拓などの措置がプラス成長に好転させたのだ。
具体的に、4月の輸出入総額は2兆5000億元で前年比0.7%減少した。輸出額は1兆4100億元で前年比8.2%増加した。輸入額は1兆900億元で前年比10.2%減少した。日本は中国の第4位の貿易対象国で、1~4月の日本への輸出は2.2%減少した。そして日本からの輸入は2%減少した。
4月の中国の輸出は大幅減少予測に反して増加に転じたものの、改善は一時的だとみられる。国際的コロナはまだ終息が見えず、注文のキャンセルや新規案件の取得困難、国際物流の停滞などのリスクに直面し、中国輸出入関連企業が受ける強い圧力はまだまだ続くと見られる。
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