中国税務署がEC企業に売上水増し分の税金支払いを要求

近頃、北京などの大都市にある複数のEC企業が地元税務署から、売上高を隠蔽した疑いで、直近3年間の売り上げの会社内部調査を命じられたのだ。
この通達は中国EC企業の間で波紋を呼び、申告した本来の売上金ではなく、水増しして発表した売上金を課税対象にされたことにより、実際の金額より高い納税を強いられた一部の企業は大ダメージを受けた。

EC企業の取引はオンラインで展開されるため、実際の売上は会社自身とプラットフォーム側しか把握できない。そのためこれを利用し実際の売上隠蔽して脱税を行う企業も存在する。
しかし近年、ビッグデータなど技術の発展により税務署の追跡が可能となり、企業の収益状況を把握できるようになった。さらに2019年から施行されたEC法案では、EC店舗運営の営業許可の取得、税務登記が義務付けられ、EC業界の規範化発展が促された。

また、この時期にEC企業の税務調査が厳格化されているのは、コロナによる地方政府の財政収支の悪化が背景にあるのだろう。

サクラを利用した売上水増し現象が消えるのか

中国EC業界では、以前からサクラ(偽客)を利用して販売数や売上を水増しする手法が存在した。販売数、顧客レビューの少ない店舗は検索下位に表示されるため、競争の厳しいEC業界で生き残るためには、お店の評価を引き上げ、トラフィック量を増やせるかがお店の存続に深く関わる。したがってサクラを使って売上を水増しする手段はEC業界では珍しくないのだ。

売上水増しの需要増加に応じ、サクラサービスを提供する業者も登場している。ECサイトに限らず、ショート動画アカウントのフォロワー数、再生数の水増しサービスまでも提供してるのだ。

▲tik tokアカウントのフォロワー数、再生数水増しのメニュー表
(業者より提供)

特に近年ライブコマースの過熱化に拍車がかかり、驚愕の売上記録を更新し続けていることに対して疑問視する声が高まっていた。
そんな時、タオバオのライブコマース事業元責任者である赵圆圆氏が公式weiboで「割引商品の最終売上を原価で計算、PVをUVとして計算する」と業界のデータ捏造の不正行為を批判するような発表を行った。

今回の税務調査の強化はサクラ現象の一定の改善が期待できる。企業側から見ると、水増し分も納税するか、サクラ行為を認め納税を避けEC法違反としてそれ相応を罰を受けるかのどちらかを選ばなければならない。どちらにしても企業が代価を払うことに間違いない。

一方、EC企業に対する調査の強化は北京など一部の都市から全国区に範囲を広げるか、まだ不透明なため、EC業界全体への影響はまだ不明確である。また、コロナによる政府収支悪化の改善策としての一時的な調査強化でしかない場合、目先の利益を得る為にサクラ現象が再び戻ってくる可能性が大いに高い。