京東が香港で上場、相次ぐ米市場で上場した中国企業の香港回帰
中国EC大手の「京東(JD.com)」が6月18日、香港証券取引所で上場を果たし約4100億円を調達した。ネットイースを抜き香港取引所今年最大規模の新規株式公開となった。6月18日は京東の設立記念日でもあり、近年、ダブル11に次ぐ中国で2番目の大型ECセールの日となっている。
京東の香港上場は米市場との重複上場となる。つい先週米市場で上場していた中国オンラインゲーム大手の「ネットイース(網易)」も香港での重複上場を行った。昨年11月のアリババの香港上場を皮切りに、中国企業の香港回帰が相次いでいる。中国本土市場の上場制度がかなり厳格なため多くのIT企業が米市場を選んできたが、近年香港市場の上場制度改革により、中国企業の香港市場が増えてきたのだ
また、「Luckin coffee(ラッキンコーヒー)」の粉飾決算事件の影響を受け、米市場で上場している中国企業への不信感が高まっている。そして米政府が中国企業の上場規則を厳格化したことで京東は米市場の上場廃止の可能性を明らかにした。
調達した資金はサプライチェーン技術向上に投じる
京東によると、上場により調達した資金はサプライチェーン(供給網)の中核を担うコア技術のイノベーションに投じる。具体的には在庫管理などの運営システムや、倉庫自動化などのスマート物流技術への投資を拡大していくようだ。
2017年から京東は技術を重要視しており、クラウド、スマート物流、IoT分野での研究開発に注力してきた。2020年に京東グループはサプライチェーン構築の技術企業になることを目標にした。アリババがメーカーにプラットフォームを提供しているビジネスモデルと異なり、京東はサプライチェーンと物流を強みに持っている。今回調達した資金もサプライチェーン関連技術向上に投じ、消費者体験の向上にも務める。