中国発のショート動画アプリ「TikTok(中国版:抖音)」は近年日本を含め世界規模でユーザーを増やしその名を轟かせている。実は中国国内市場ではもう1つショート動画の大手が存在するのだ。
それが「Kwai (中国版:快手)」である。KwaiはTikTokよりも先にショート動画サービスを開始し、地方市場を中心にユーザーを増やしてきた。この両社は独自の市場戦略と仕組みにより中国市場で大きな成長を実現させている。チャイトピ!は今回この両社を比較してみた。

動画表示の仕組みの違い

TikTokは内容優先のアルゴリズムを元にコンテンツを表示させている。トップページに表示されるのはほとんどがいいねやコメント数の多い動画になっている。そのためTikTokでは話題を集めた動画作品がたくさん誕生した。TikTokのコンテンツ表示管理システムによりプラットフォームのリソースが一部のユーザーと人気作品に集中し、人気作品の話題性はより一層高まる。
中国リサーチ会社の「秒針」によると、TikTokでフォロワー数1万人を超える人気配信者は全体ユーザーのわずか4.7%にしか及ばないが、彼らのフォロワーは全体ユーザーの97.7%をも占めている。再生数が50万回を超える人気動画も全体のわずか3%だが、全体ユーザーの80%もの注目を集めた。

しかし短所として一般的な動画の表示機会が少なく、一般ユーザーの動画がアクセス数を稼ぐにはかなり不利である。ユーザーはTikTokのアルゴリズムにより自動的に表示される動画を閲覧するため、閲覧者と配信者の繋がりが弱く、アプリのソーシャル属性の不足に繋がっている。そのためこの手法はTikTokの長期的発展には不利との見方がある。

▲TikTok(左)とkwai(右)のトップページ比較
(チャイトピ!よりキャプチャー)

一方Kwaiは一般の人が自身の生活や趣味を表現する場としての立ち位置を確立するため、一般人の動画製作を支援し、表示回数の配分も比較的公平的に設定している。そのためソーシャル属性がTikTokより強く、Kwaiによると、2019年の動画投稿を行ったユーザー数は2億5000万人にものぼる。

ユーザー像比較

▲TikTokとKwaiのユーザー比較(出典:Questmobile、卡思数据)

TikTokのDAU(1日あたりのアクティブユーザー数)は4億人を突破しており、Kwaiよりアクティブユーザーが多い。男女の割合でいうと、以前TikTokは女性ユーザーが圧倒的に多かったが、現在は男女の比率のバランスがよくなった。地域別では1、2線都市での優位性を持ちながら、3線以下の都市への浸透も広げている。
そんなTikTokと比べてKwaiは3線以下の都市のユーザーが全体の70%を占めており地方市場が圧倒的に強い。

都市部と地方の壁を打ち破り、勢力を強める2社

TikTokとKwaiが各自の戦略で市場を開拓しユーザー獲得に成功してきたが、競争の激しい業界を生き延びるためには日々新しい成長エンジンを探ることが必要不可欠だ。

TikTokのソーシャル属性の不足を補うかのように、運営会社であるバイトダンスはSNSアプリ「多闪」を開発した。このアプリは文字の代わりにショート動画で友達と連絡を取り合えるという特色をもつ。また、2018年にTikTokはスローガンを「美しい生活を記録しよう」に変更し、一般人の生活関連動画製作を推進するようになった。

▲ Jay ChouのKwaiアカウント(チャイトピ!によりキャプチャー)

一方で、Kwaiも“ローエンド市場向けアプリ”というイメージ脱却を狙い、TikTokが強みに持つ1、2線都会市場へのさらなる進出に乗り出した。超人気歌手「Jay Chou(周杰伦)」と契約し、関連音楽作品の使用権を手に入れたのだ。同時にJay ChouはKwaiでアカウントを開設し、新作を公開、多くのファンをKwaiに誘導した。

また、近年ライブコマースの追い風に乗り、TikTokとKwaiの競争分野がECにまで及んだ。動画アプリとしての優位性を発揮し、両社はEC最大手のアリババに次いで、ライブコマース市場シェアの2位と3位に躍り出た。

この先中国のショート動画がどう発展していくか、チャイトピ!は引き続き追っていきます。

 

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