以前の中国コスメ市場は欧米や日韓ブランドの勢力が強かったが、近年中国国内では新興コスメが続々と誕生し注目を集めている。見た目と中身の美しさと、コスパの良さが特徴であり、若い女性の間に流行している。
新型コロナウイルスがコスメ業界にダメージを与えた背景下で、中国の一部のコスメブランドはプラス成長を実現させている。その大きな理由として、EC販路を基盤にすることで他より落ち込みが少ないのが挙げられる。
中国コスメ市場の急速な成長と、1人当たりの消費額の低さ
▲世界的コスメ市場シェアと1人当たりの消費額(出典:Euromonitor)
イギリスの市場調査会社「Euromonitor」によると、中国はアメリカに次いで2番目に大きい、コスメ市場に成長しており、世界コスメ市場シェアの12.85%を占めている。さらに成長スピードが群を抜いており日米韓に勝り著しく成長の早いコスメ市場を所持しているのだ。
しかしその成長虚しく、中国の1人当たりのコスメ消費額が他の国と比べて圧倒的に低い。2019年では43ドルに留まり、日米韓との大きな差が見て取れる。そのためまだまだ可能性を秘めた、中国人の収入増加によるコスメ市場のさらなる成長が期待されている。
ECはコスメの第1販路であり、オンライン販売に注力する中国国内ブランド
▲2012~2019年中国コスメのEC販売状況(億元)(出典:Euromonitor)
中国ではECが発達しており、ネット通販で買い物する事が人々の生活の一部となり習慣化している。ECの中でもコスメの成長は際立っており。海外ブランドを含め多くのメーカーがECモールに出店し、オンライン販路を拡大している。
2010年以前はEC上でのコスメの売上は全体のわずか1%にしか及ばなかったが、2019年には売上が1473億元を超え全体の31.5%を占めるほどに上がり、オンライン販売がコスメの第1販路となった。
▲2020年618セールのコスメブランド別売上トップ5(出典:Syntun)
ECサイト以外にも「RED(小紅書)」や「weibo」などの新興プラットフォームにおいて販売とマーケティングに注力した、「完美日記(Perfect Diary)」を始めとする新興コスメが急成長を果たしている。去年のダブル11で「完美日記」は初めて欧米ブランドを打ち負かし、売上首位に輝いた。今年の618セールでも、「完美日記」は1位の座を保持した。
テンセントが発表した調査報告によると、中国国内ブランドはコスメ市場シェアの56%を占めており、海外ブランドとの激しい競争の中で確実に優位性を示している。
若い女性、低級市場、低価格カテゴリーが成功のキーワード
中国コスメ消費者のうち、25歳以下の若年層消費者が全体の約5割を占め、コスメの消費主力となっている。インターネット時代に育てられたこの世代にはソーシャルメディアが浸透しているため、新興ブランドはソーシャルメディアでのマーケティングに力入れ、若年層消費者を獲得した。
▲代表的な国内ブランドのユーザー年齢分布(出典:QuestMobile)
▲代表的な国内ブランドのユーザー地域分布(出典:QuestMobile)
また、三級都市以下のユーザーが多くを占めている。低級都市への進出を積極に行い、シェアを拡大してきたのだ。国内人気コスメブランド「完美日記」のユーザーのうち、24歳以下が全体の56.8%を占め、三級以下の都市ユーザーが58.7%を占めている。
カテゴリー別で見ると、口紅やファンデーションなど高単価商品のカテゴリーでは依然として海外ブランドが優位性を保っているが、アイシャドウやアイライナーなどの低単価商品のカテゴリーでは中国国内ブランドが良質な設計により次々とヒット商品を世に出している。さらにサプライチェーンのコストを低く抑えることによって価格優位を形成した。
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