▲各企業の売上と最終損益(チャイトピ!作成)

テンセントはゲーム事業が健闘

テンセントはQ1に引き続き好調な業績を残している。売上高は29%増の1,149億元(約1兆7,600億円)となった。純利益は前年同期比37%増の331億元(約5,060億円)。共に市場予想を上回る結果となった。

▲テンセントの収益構成(チャイトピ!作成)

事業別の収益でみると、ゲーム事業などの収益が前年比40%増加で383億元。スマホ向けゲーム「和平精英」や「王者栄耀」などの主力ゲームの業績が伸びた。コロナの影響で巣ごもりしていた消費者による需要成長が反映した。
また、コロナにより多くの企業のオンラインへの注力がトレンドとなり、テンセントのクラウドサービスが伸びる結果となった。Q2のフィンテック及び企業向けサービスの収益も前年比30%増加したのだ。
ネット広告収益は185億元で前年比13%増加、全体収益の16%を占める。そのうちSNS上の広告収益が前年比27%増加の153億元。WeChatの広告収益が大きく貢献した。
WeChatの利用者数は12億600万人で前年比6.5%増加した。ただ、3月末比では0.3%増と伸び率は鈍化。

アリババはタオバオライブのGMV伸び率が100%超え

アリババの4~6月期決算も増収増益。巣ごもり需要がもたらしたオンライン消費成長は続いている。売上高は1,537億元(約2兆3,600億円)で前年比34%増加。Non-GAAPベースの純利益は395億元(約6,050億円)で前年比28%増。共に市場予想を上回った。特にライブコマース事業が著しく急成長。「タオバオライブ」のGMVの前年比伸び率は100%を超えた。
しかし年間アクティブユーザーは7億4200万人と、伸び率が鈍化している。
また、クラウドサービス事業は赤字が続いているが、収益は123億元で前年比59%増加した。
アリババは好決算を出したが、株価の好調な反映はなく、米中対立による先行きの不透明な懸念が見られる。

京東(JD.com)は売上伸び率過去10四半期最高

京東の売上高と純利益も共に市場予想を上回った。売上高は前年比34%増の2,011億元(約3兆740億円)。四半期ベースの収益が初めて2,000億元を突破し、伸び率も過去10四半期で最高となる記録を残した。即時配達会社「達達」の上場により投資収益が増加し、純利益が大幅に伸びたのだ。

▲京東の収益構成(チャイトピ!作成)

売上高のうち、商品売上は1,782億元で前年比33%増加、企業向けサービス収益(物流など)は36%増加の229億元。
決算期間中に、京東は中国ECの祭典である「618セール」で売上記録を塗り替え、コロナ後の中国消費回復の兆しとしてメディアに大きく取り上げられた。
また、年間アクティブユーザー数も4億人を突破した。

百度は減収増益

百度の売上高は前年比1%減の260億元(約3,980億円)。純利益は35億8,000万元(約550億円)と、共に市場予想を上回った。小幅の減収であるが増益は実現した。
中核の検索エンジンとAI事業収益が189億元で前年比3%減少。具体的には、オンライン広告収益が前年比8%減の177億元。Q1比で見ると、下げ幅は縮小しており、コロナ禍から回復しつつある。AI事業は2桁の伸び率を実現させており、百度はAI事業が今後の収益成長の動力になると期待を示している。

その他の事業収益(動画サイトiQIYI収益含め)は83億元で前年比18%増加した。ちなみに、「iQIYI」は近頃、不正会計の疑いで米国証券管理委員会の調査を受けている。さらに筆頭株主として百度も、iQIYIへの管理不十分、経営状況と財務状況を歪曲したとして起訴された。

また、百度アプリの利用者数は2億400万人(DAU)、3月末比では減少している。コロナ後の企業営業再開、学校再開で人々の家にいる時間が減ったのが要因だろう。

ネットイース(網易)はゲームが好調、教育と音楽事業も成長

ネットイースのQ2の収益と純利益は共に市場予想を上回った。主力のゲーム事業収益は前年比21%増加の138億元。国内外市場で伸びており、特に日本市場で好成績をとった。

また、教育事業「有道」の収益は前年比93%増加の6億元。音楽アプリ「網易雲音楽」を含めたイノベーション事業の収益は前年比39%増加の37億元。網易雲音楽の会員成長が著しく、「Universal Music Group」を含めた多くのレコード会社と著作権契約を締結した。ライバルのテンセントミュージックグループが著作権を独占して買い取る局面を変えた。

NIO(蔚来)は納車台数が過去最高に

中国新興EVメーカー「NIO(蔚来)」は今回が、2019年上場以来最も高いと言える業績を出した。赤字経営状態が続く中、納車台数は1万331台で過去最高を記録した。粗利率も初めてプラス転換を果たし、赤字額も64%縮小した。