中国EC新勢力の拼多多(Pinduoduo /ピンドウドウ)は先日、2020年第二四半期の決算を公開した。売上高は122億元(約1,870億円)で前年比67%増加し、市場予想を上回った。具体的に、広告収益は110億元で前年比71%増加した。販売手数料収益は11億元と前年比38%増加した。
Non-GAAPベースの純損失は7,724万元(約12億円)で前年比赤字額が10%縮小した。
▲拼多多の収益構成比(チャイトピ!作成)
単に売上高と損益を見ると、拼多多の決算は決して悪いとは言えないが、市場は難色を示し、決算発表後の拼多多の株価は大幅に下落した。
利用者数がアリババに迫る
拼多多は中国ECのダークホースとして頻繁にアリババや京東などの先駆者と比較される。売上などの面ではまだアリババらに及ばないが、ユーザー数は驚異の成長を見せ市場の注目を集めた。時価総額も中国EC2位の京東に並び、京東を超えることもある。
Q2では新規アクティブユーザー数を5510万増やし、四半期ベースで最高の伸びとなった。年間アクティブユーザーは6億8320万人で前年比41%増加した。中国EC最大手のアリババの利用者数(7億4200万人)に迫る勢いである。この成長スピードだと年内にもユーザー数でアリババを超える可能性があると中国のメディアは予測している。
▲中国EC三社の年間アクティブユーザー数(億人)(チャイトピ!作成)
しかしユーザーが増えても、客単価が低い現状は変わらない。拼多多ユーザーの年間平均消費金額は3月末時点で1842元、6月末で1857元と、成長はほぼ止まっている。
補助金作戦でユーザー増加も、GMVの伸び率は下落
地方市場を中心に安価な商品を提供し急成長してきた拼多多は近年、高単価顧客の獲得に力を入れている。「ローエンド市場向けアプリ」のイメージ脱却を狙い、拼多多は提携していないiphoneやSKIIなどのブランド商品を販売するようにもなった。特に最近、拼多多が在庫を持たずテスラのモデルを割引で販売し、テスラが納車を拒否した事件が中国で話題となった。
2019年から拼多多は各ブランドと協力し「百億元規模の補助金」キャンペーンを展開した。今年の618セール期間中も百億元のクーポンや補助金を投入した。そのためQ2の販促費用は91億元にのぼり、前年比49%増加した。
しかし大規模な資金投入によりユーザーを増やすも、GMV(サイトの取引額)の伸び率は市場予想を下回る結果となった。
Q1は新型コロナ感染拡大の背景下であれ、GMVが前年比99%増加と業界の平均水準を超える好成績を挙げていた。それと比べると、コロナが収束しつつあり市場が回復に向かっているQ2においてGMVの前年比伸び率48%は、市場予想を遥かに下回る形となったのだ。
アリババや京東が地方市場向けのサービスを相次いで打ち出しており拼多多との対決はさらに過熱化している。拼多多も京東らが占領しているハイエンド市場への進出を積極的に行なってはいるがいまだに大きな成果は挙げられていない。既存の地方市場利用者の維持と高単価顧客の獲得が拼多多の今後の一大課題なのだ。
関連記事はこちら: 中国企業2020年Q2決算まとめ(アリババ、テンセント、京東含)