TikTokが米中対立の犠牲になったことにより中国発アプリが初めて世界中の注目を集めた。日本ではTikTokをはじめ、スマホゲーム「荒野行動」などの中国発アプリも人気である。
中国国内市場が飽和状態にあり、新しい成長エンジンを探る、又は国内大手との競争を避け、海外市場に目を向ける中国企業が現れ出している。TikTokを皮切りにした動画アプリの他にも、ゲーム、EC、ツールなど様々な分野の中国製アプリが海外進出している。

中国アプリの海外進出歴史

2012年から中国のツールアプリの海外進出ブームが起きた。スマホのウイルス検出、スマホクリーニング、画像加工アプリなどがメインである。
「Cheetah Mobile(猎豹移動)」が開発したクリーニングアプリ「CleanMaster」は世界中でのDL数が1億を突破した。2014年同社はニューヨーク市場で上場を果たし、海外進出の成功例として頻繁にメディアに取り上げられた。他にもアリババ傘下のブラウザアプリ「UC Browser」や画像加工の「meitu」が東南アジア市場で一定の市場シェアを獲得した。しかし好調は長くは続かず、ツールアプリは下火となり、Cheetah Mobile社の株価は激落した。

その後2016年からバイトダンスと「欢聚グループ(JOYY)」をはじめとする動画やライブストリーミングビジネスを行う企業が海外市場へ進出した。ショート動画やライブ配信アプリを打ち出し、アメリカや東南アジア市場で多くのユーザーを囲い込んだ。
また、スマホゲーム分野では、テンセントとネットイースなどの大手ゲームが海外進出を積極的に行い、日本や欧米市場で人気を博した。

代表的アプリとその開発会社

現在世界中で人気を博した中国アプリは大まかにゲームとコンテンツアプリの2種類に分けられる。この2分野で人気なアプリとその開発会社を紹介していく。

  • ゲーム系

▲2020年7月中国スマホゲームの海外市場収益ランキング(出典:SensorTower)

新型コロナがゲーム業界に好影響を与え、海外市場での中国スマホゲームが急成長し収益記録を更新している。
2020年7月のiOS APP StoreとGoogle play storeの収益ランキングでは、テンセントのバトルロイヤルゲーム「PUBG MOBILE」が9000万ドルの収益でトップに立った。
ネットイースの「荒野行動」は日本の人気漫画「東京喰種」とコラボ展開するなど日本市場に注力している。7月の収益は6300万ドルで自己最高となり、ランキング2位に並んだ。
次いでLilith社の「Rise of Kingdoms」が3位に並ぶ。

▲2020年Q2中国スマホゲームの日本市場収益ランキング(出典:SensorTower)

日本市場では、荒野行動、有爱互娱の「放置少女」、Yotta Gamesの「マフィア・シティ」がQ2の収益トップ3である。

  • 動画、ライブ配信といったコンテンツ系

▲2020年上半期中国動画/ライブ配信アプリの海外市場DL数ランキング
(出典:SensorTower)

新型コロナの感染拡大による巣ごもり消費が急拡大。中国のショートムービーやライブ配信アプリの海外成長が著しい。2020年上半期のDL数データを見てみると、Tik Tokは6億近くものDL数でトップとなり、前年比88.7%急増した。
他に欢聚グループ傘下のショート動画「Likee」やライブ配信の「BIGO LIVE」、快手傘下のショート動画アプリ「UVideo」、「Snack Video」がトップ10にランクインした。
スマホメーカーのシャオミはインド市場でのスマホ販売が好調で、傘下のショート動画アプリ「Zili」もその勢いでDL数トップ10にランクインした。

▲会社別の海外市場収益ランキング(出典:APPAnnie)

会社別の収益ランキングでも、上位にあるほとんどがゲーム会社である。FunPlust、Lilith2社は海外市場向けに数多くの人気ゲームを輩出し1位、2位に並ぶ。次いでテンセントとネットイースが3位4位に並ぶ。
欢聚グループは7位で、バイトダンスは23位である。

政治問題で打撃、中国アプリの海外展開の懸念点

今年6月に、インド政府がTikTokなど59の中国製アプリの利用禁止を発表し、インド市場で多くのユーザーを獲得してきたアプリらにとって大きな衝撃となった。さらにインドに次いでアメリカもすでにTikTokに強制的な売却を命じており、wechatなど他の中国アプリの使用禁止も検討されており中国アプリに追い討ちをかけた。海外において中国アプリに対する警戒心が強まっており、中国アプリのグルーバル展開が懸念されている。

懸念される一方で、インドはまだ後進国ということもありユーザーを獲得しての収益化が元々難しかったため、制裁による全体収益への影響は低いとも推定できる。SensorTowerによると、2020年上半期の動画/ライブ配信アプリ収益トップ20の中国アプリの収益データでは、インド市場からの収益は全体のわずか1.2%を占める。収益化難航により、一部の中国企業はすでにインドでの事業規模を削減しており、欧米や日韓などの市場へ重点を移している。
今後は政治上のリスクと収益化が中国アプリのグルーバル展開の2大課題である。