中国3大インターネット企業BATのうち、アリババとテンセントは今もトップ2位をキープしているが、百度は失速し3位の座を明け渡しつつある。
近年中国のインターネット業界では、フードデリバリーを中心に、口コミサイト、シェア自転車などの生活関連サービスのO2Oビジネスを展開する美団(meituan)の成長が著しい。2018年にIPOを果たし、2019年の1年間で時価総額が約140%増加と大幅に伸びた。そして現在の時価総額は約2000億ドルで中国インターネット企業第3位に値する。
美団は以前アリババからの出資を受けていたが、途中で両社の関係が悪化し美団はアリババの宿敵であるテンセントからの投資を受けテンセント陣営に加わった。その後アリババは同じくデリバリー大手のeleme(餓了麼)を買収し、美団との対決は日々激化している。
美団にますます差をつけられるeleme、挽回に躍起
2009年に創業したelemeは中国フードデリバリーの先駆者と言える。美団は2013年にデリバリーサービスを開始させ、遅れをとったスタートと言えるが、市場シェアでelemeを追い越し中国フードデリバリー最大手の地位を手に入れた。2020年Q2で、美団は68%のシェアでeleme(25%)を大きく突き放している。出店している飲食店の数もelemeを大きく上回っている。
▲2019~2020年Q2中国デリバリー市場シェア推移(出典:Trustdata)
(elemestarは百度のデリバリーサービスで2017年にelemeに買収され名称を変更)
2018年にアリババはelemeを買収し、自社の口コミサイト「口碑」と統合させ、生活関連サービス会社を創立した。当時アリババはデリバリー市場シェアの50%を取り戻すことを目標にしていたが、2年経った現在も達成に至るどころか、美団に差をつけられる一方である。
そこでアリババが考えた打開策は7億ユーザーを持つアリペイからのユーザー誘導だ。今年3月、アリババはアリペイを決済ツールから生活関連サービスプラットフォームへ進化させる計画を立て、新バージョンのアリペイのトップ画面に、elemeと口碑への入り口を目立つように設置した。このレイアウトは美団と酷似している。
▲アリペイと美団のアプリトップ画面
(チャイトピ!よりキャプチャー)
さらに今年8月にelemeは百億元規模の補助金を投入し、1回の注文で最高20元引きするキャンペーン展開を発表した。
ユーザー獲得の先行投資として、補助金作戦は中国ネットサービス分野では特に珍しくない手法で、elemeにとってはユーザー獲得後のユーザー維持が一大課題である。
美団がEC分野でアリババに対抗
アリババがデリバリー分野で攻勢する一方、美団もアリババのコア事業であるECへの進出に挑んだ。ここ最近、美団は「团好货」というECサービスを打ち出し、果物、百貨、おやつ、海鮮食料品などのジャンルの商品販売を行っている。取り扱い商品は1~10元と、単価の低い商品が多く、アリババ勢力が比較的弱い、地方市場をターゲットに取り組んでいる。そして申通、圓通、中通などの物流企業が配達サービスを提供している。
▲团好货のスマホ画面(チャイトピ!よりキャプチャー)
現在の「团好货」は画面が簡素的で、商品のジャンルも少ない。アリババの規模とは比べものにならないが、O2Oサービス最大手として、即時配達の優位性をより上手く生かせれば、美団にもチャンスが生まれるだろう。
アイキャッチ画像撮影:チャイトピ!
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