Tik Tokを運営するバイトダンス(ByteDance/字节跳动)は創業からわずか8年で評価額1000億ドルを超える世界第2位のユニコーン企業に成長した。米中対立真っ只中の今、Tik Tokの米事業の動向は不透明になっているが、中国のIT業界新御三家「TMD(生活関連の美団点評(Meituan)、中国版Uberと言われる滴滴出行(Didi)を含む)」の一社として、今後の発展に対する期待は大いに高い。

バイトダンスは、ショートムービーやニュース配信などのコア事業に注力する一方、2014年から他社への投資を積極的に展開し、各分野での影響力を強めている。コンテンツ製作、オンライン教育、金融、自動車、エンターテイメントなど幅広い分野で、少なくとも96社へ投資している。
チャイトピ!は今回、2015年以降の投資について取り上げる。同社が特に力を入れている「コンテンツ関連」、「教育」、「ゲーム」、「海外投資」の分野別で投資企業を紹介する。

▲分野別の投資先企業数(出典:IT桔子)

コンテンツ関連

バイトダンスは2014年から自社で提供している動画やニュース配信サービスと密接に関連しているコンテンツ製作、エンターテイメント、SNSなどの分野にあたる27社に約15億元を投資した。
ニュース配信サービス「今日頭条」を立ち上げ以降の2014年からはニュースサイト「华尔街见闻」、「财新世界说」や自動車情報サイト「30秒懂车」などの複数のメディアに投資した。そして2016年に漫画配信サイト「快看漫画」に投資し、同社は現在ユーザー規模トップの漫画配信サイトの地位を確立している。

2016年にバイトダンスはdouyin(中国版Tik Tok)をリリース。その後ショートムービーはたくさんのユーザーを囲い込み最もホットなビジネス分野となった。その勢いのままコンテンツ製作、ライブ配信ツールなどの関連分野への投資を積極的に展開、2018年には「风马牛传媒」、「泰洋川禾」などの数多くのMCN企業にも投資した。
投資先である「风马牛传媒」に所属する人気KOL(配信者)「渔人阿锋」などが、バイトダンスが提供する動画アプリ「スイカビデオ」の人気配信者である。
また「泰洋川禾」は2015年に創立したエンターテイメント会社であり、バイトダンスは同社のBラウンドの資金調達に参加した。
そして人気小説の著作権を目的に、出版社「鼎甜文化」にも出資しており、現在同社の第3位の株主である。

教育、ゲーム

近年、ゲームと教育分野に積極的に出資を行っている。Tik Tokの広告収益においてゲーム会社の広告割合が多いため、バイトダンスは自社ゲーム開発チームを設立する一方で、ゲーム開発企業への出資も行っているのだ。
2018年ゲーム開発の「朝夕日历」を買収した後、音楽ゲーム「音跃球球」を打ち出した。2019年にはスマホゲーム開発の「大眼星空」を買収し、同年にAI技術を活用するゲーム開発企業「深极智能」にも出資した。

また、バイトダンスは教育分野でも少なくとも6社に出資している。
2018年にオンライン教育の「晓羊教育」に投資、2019年には小中学生向けのオンライン教育プラットフォームの「清北网校」を買収した。CEOの張一鳴氏は以前、教育事業を会社の新たな発展の方向性として位置付けて、注力していくと発表している。

海外投資

グローバル企業を目指すバイトダンスは海外投資も展開している。自社サービスの海外進出と同時並行で行っているのだ。
2016年からアメリカやインドなどの市場で十数件の投資を行った。米市場では2017年に動画アプリ「Musical.ly」を買収しTik Tokと統合させた。その後Tik Tokは米市場で人気を博し、運営会社のバイトダンスの知名度も一気に上がった。
インド市場では2016年にニュース配信プラットフォーム「Dailyhunt」に出資した。

バイトダンスこのほかにも自動車、EC、オフィスツール、金融などの分野にも積極的に投資をしている。2018年にはコンテンツと人工知能分野の優良企業への投資を行うために、会社初のベンチャー投資ファンドを創設する計画が報道された。さらに2019年から投資件数は急増しており、中国IT三巨頭「BAT」の中でも特にコンテンツ分野で勢力の強いテンセントとの競争がさらに激化することが予想される。

 

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