DiDi 不在で、DiDaが相乗りサービス1位に
中国のタクシー配車サービスといえば、約9割の市場シェアを占め絶対的地位に君臨しているDiDi(滴滴)が思い浮かぶだろう。しかし最近では配車サービス2番手・Dida Chuxing(嘀嗒出行)が目論見書を提出し、DiDiより先に上場を果たすだろうと話題になった。
DiDiが一般タクシー、ハイエンド市場向けの「専車」など複数の車種とサービスを提供するのとは異なり、2014年に創業したDida Chuxingは相乗りサービスを主力事業として注力してきた。
相乗りサービスは運営許可などの制限が比較的緩く、市場参入の敷居が低い。また、運転手への補助金が少なく車も運転手個人の所有車であるため、Dida Chuxingのコストが低い。そのため相乗りサービスの市場規模は配車市場全体のわずか2%にしか至らないが、低コストなため大きな収益源である。
▲2019年中国タクシー・ライドシェア市場構成(出典:Frost Sullivan)
しかし相乗りサービスが普及し出した2018年にDiDiが提供する相乗りサービスで、運転手による乗客殺害事件が2件も起き、運転手の資格審査の緩さが世論から強い批判を浴びた。その後DiDiは相乗りサービスを停止にした。
DiDi不在の1年間、アリババ傘下の地図アプリ「高徳地図」やシェア自転車「Hellobike(哈啰单车)」など複数の企業が相乗りサービス市場に進出した。Dida Chuxingもこの機会を生かし、同サービス市場シェアの66%を手に入れた。2019年9月には黒字転換を発表し、配車サービス業界で黒字転換を発表した第1社となった。
目論見書によると、2017~2019年の3年間、Dida Chuxingの収益は4900万元から5億8100万元までに増加し、約12 倍伸びた。コロナウイルスで配車市場がマイナス影響を受けたにもかかわらず、2020年上半期の収益は3億1000万元と、前年より66%も成長した。
安全問題未解決で業界の未来は不透明
急成長で注目を浴びているDida Chuxingだが、今後の発展にはいくつかの懸念が存在する。
相乗りサービスという単一サービスに依存する状況の改善がDida Chuxingが直面する一大課題であるのだ。
相乗りサービスはDida Chuxingの主な収益源であり、2020年上半期会社全体収益の87%も占めている。2018年からDida Chuxingは配車サービスを開始し、事業内容の多様化を図ったが、タクシー事業の発展は遅く、業績も芳しくない。
また、DiDの乗客殺害事件で中国社会全体が相乗りサービスの安全性を疑問視し、その後も安全基準の制約が確立されておらず、状況は一向に変わりっていない。今後も政府の関与を受ける可能性があり、業界発展に不確定要素が多い。
その上、ライバルのDiDiは2019年末に1年ぶりに相乗りサービスを再開させ、現在約300都市でサービスを提供し、全面的な復帰を果たした。さらに今年7月にローエンド市場向けの配車サービス「花小猪」をリリースし、大規模な補助金を投入した。結果的にDida Chuxingnによりプレッシャーをかけることになった。
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