新型コロナウイルスの影響で世界経済全体が打撃を受ける中、中国は新規感染を抑え込みつつあり、経済も回復に向かっている。Q2のGDPでは前年比3.2%増とプラス成長に転換した。
そして、11月に開催されるネット通販セール「ダブル11(独身の日)」はコロナ後最初の大型ショッピングイベントとしてどれくらい今年は売れるか、中国消費者がどれ程の消費意欲を持っているか、世界中の投資家達が注目を集めている。

アリババがセール期間を延長

以前ダブル11は予約販売期間を含め約1ヶ月近くにわたる長期間イベントであったが、オーダーのピークは11月11日の当日のみであった。
しかし今年は、アリババのTmall(天猫)が「予約販売→残代金精算」という流れを11月11日までに2回実施することを発表した。11月1日~3日が1回目、11月11日当日が2回目となる。これにより11日当日に注文が集中することが避けられ、販売者側からしてもカスタマーサービスや物流サービスなど、注文処理に余裕ができる。

▲Tmallダブル11のスケジュール(チャイトピ!作成)

新型コロナウイルスで売上が落ち込んだ企業の、ダブル11による業績向上の期待値はかなり高い。今回は約25万のブランド、500万の店舗がイベントに参加しており、割引対象商品は1400万で去年の1.4倍となっている。
また、ダブル11に備え、中国14社の物流会社が予約販売商品を正式販売開始前に、購入者の居住地周辺にある拠点に配送し、イベント開始とともに届ける作戦を発表している。

予約販売で化粧品が好調、トップKOL2人が一夜で70億元を売り上げる

EC市場の伸び率が鈍化している状況下、ライブコマースによる販促が成長の鍵となっている。新型コロナウイルスの影響で閉店が相次ぐ海外ブランドも中国市場に期待しており、ダブル11向けのプロモーションに注力している。

生配信を行う、タオバオライブ(淘宝直播)では、ダブル11の予約販売開始後わずか10分で売上げが昨年の1日分を超えた。その中でも特にコスメカテゴリが好調を見せており、海外ブランドを含めた1時間での売り上げが1億元を超えた人気商品が12品目もある。

▲予約販売開始21日午前0時からの李佳琦(Austin)と薇娅(viya)のライブ配信売上
(出典:zhigua.cn、タオバオ)

タオバオライブで最も人気のあるKOL・李佳琦(Austin)と薇娅(viya)もこの一大イベント注目の2人である。予約販売開始直後から、2人のライブ配信視聴者数は共に1億人を超え、合計GMV(後の返品を除く当初の注文額)は約70億元(約1090億円)を記録した。この驚異の売り上げは中国SNSでも急上昇話題に上がるほどだった。

タオバオ、Douyin、快手、3強のライブコマースが激戦

中国のライブコマース業界ではタオバオライブ、Douyin(Tik Tokの中国版)、快手(kuaishou)が3強の位置づけになっている。タオバオライブはその中でも1番売り上げの高いライブ配信プラットフォームである。それに次ぐDouyinなどのショートムービーライブコマースも近年急成長しておりタオバオライブを猛追している。

そしてダブル11に備え、3社ともに各自の対策を講じている。
タオバオライブは300人もの人気タレントや俳優をライブ配信に招待することを発表した。
Douyinは6月にEC事業部を設立し、ダブル11直前の10月にライブコマースにおいて、タオバオなどの第3者ECプラットフォームへの直接アクセスを不可能にし、本格的に自社EC事業を発展させる姿勢である。
快手も自社の強みである地方市場に精を出しており、零細企業を支援するため1億元超の補助金投入をと宣言した。

ダブル11は今週末に第1期のピークを迎える。チャイトピ!では引き続き最新情報をお伝えします。

*アイキャッチ写真:チャイトピ!撮影

 

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