化粧品業界では、新しい商品を販売する際、フルサイズの本商品以外に、ミニサイズや無料サンプルを用意することがよくある。

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大で化粧品業界も大きな打撃を受けた。売上が落ち込むブランド達は直接的な商品の値下げではなく、サンプルを送る手法を活用した。今まで新商品の販促手法であったサンプルが活躍の機会を増やしたのだ。

さらに近頃中国では、消費者に送るサンプルやミニサイズ商品が単独で販売される現象が起きている。フルサイズと同様の量分、複数サンプルを買った方が3~5割安いこともあり、収入があまりない有名ブランドを使いたい若者女子の間で流行っているのだ。

タオバオでサンプルを販売する個人店舗(チャイトピ!よりキャプチャー)

中国を代表するECサイト・タオバオで「化妆品 小样」と検索すると、サンプルを取り扱う個人店舗の商品がたくさん出てくる。中にはフォロワー数が10万人を超える店舗も数多く存在する。エスティーローダーやランコムなどのブランドサンプルの1か月の販売数は300にものぼる。

ロレアルのサンプル販売店「小美盒」(チャイトピよりキャプチャー)

サンプル市場の著しい成長により、ブランドらは低収入の潜在顧客を獲得できている。実際に、自らサンプルを販売するブランドもあるほどだ。

ロレアルはアリババの天猫(Tmall)でサンプルを販売する専門店「小美盒」を開設した。口紅や化粧水、クレンジングオイルのミニサイズ商品セットを300元(約5000円)で販売している。現在同店舗のフォロワー数は235万人もいる。

化粧品サンプルを販売するコスメ専門店・HARMAYが話題に

ECだけではなく、化粧品のサンプルを販売するリアル店舗も近年増えてきた。有名なのがHARMAY、ONLY WRITE、Mclloryの3社である。今回はその中のHARMAYをご紹介する。

HARMAY(话梅)の運営会社である「北京话梅乐享科技有限公司」は2013年に創立し、2019年にはラウンドAの資金調達を果たした。リードインベスターは「高瓴資本(Hillhouse Capital)」で、資金調達後の同社の評価額は約5億元(約77億円)に達した。

HARMAYは現在北京、上海などの都市で5店舗を展開する初期段階の企業だが、販売スタイルや店の倉庫型の内装はSNSで注目を集めている。

HARMAYの上海店舗(撮影:チャイトピ!)

今回チャイトピは上海の中心部の安福路にある店舗を訪問した。同店はおしゃれなコスメ販売店と異なり、倉庫のようなデザインを採用しており、そのデザインに魅力を感じた消費者たちがこぞって写真を撮りSNSで拡散してくれることで、ブランドの知名度引き上げに繋げた。

店内で写真を撮ってる若い女性たち(撮影:チャイトピ!)

店内では、欧米や日韓ブランドの化粧水や、シートマスク、ファンデーションを販売している。

サンプル売り場を目立つ場所に設けている(撮影:チャイトピ!)

特に有名ブランドの化粧品サンプルの売り場は目立つ場所に設置され、消費者の入店を促した。値段は20~200元(約300円〜3000)ぐらいで、ロレアル傘下のブランドKIEHL’Sの保湿クリームのサンプル(7ml)は37元(約600円) 、Diorの香水サンプルは53元(約850円)で販売されている。日本ブランドのSK-IIや資生堂のサンプルも販売されていた。

店員さんによると、商品はブランドの代理商から仕入れているそうだ。

商品の真偽、仕入れルートへの疑問の声も

化粧品のサンプル市場が急成長しつつある中、サンプルの供給先の真偽に対する懸念の声も高まっている。

包装に「非売品」と明記されている香水(撮影:チャイトピ!)

実際HARMAYの店舗で販売されているサンプルの中には、包装に「非売品」と明記されているサンプルも複数もあった、そのような商品の大量販売は法律違反にあたる可能性がある。現地メディアによると、ロレアルなどのブランドは取材に対して、HARMAYに代理販売権を与えてないとコメントしている。

中国政府は近年化粧品業界の管理を強化しており「化粧品監督管理条例」が今年1月1日から実施された。

HARMAYと同じくサンプルを販売する小売店のONLY WRITEは今年1月に、密輸の疑いで当局に調査され、店内の化粧品が押収された。同店はLA MER、SK-IIなどの高級ブランドのサンプルを販売しているが、商品の仕入れ先の合法的な証明を出せていない。

中国政府が管理を強化する中、成長しているサンプル市場、今後HARMAYやONLY WRITEのような化粧品小売店の存続に注目である。

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