一般的な春節スケジュール

今年2月11日から中国は春節(旧正月)連休に入る。出稼ぎ労働者をはじめ実家を出て働いている人たちは皆実家に戻り家族と過ごすのが一般的で、例年春節前後の40日間は(延べ)29億人もの人々が移動する。

今年は新型コロナウイルスの再拡大を懸念し、中国政府は「帰省自粛」を呼びかけた。地方政府も帰省にはPCR検査の陰性証明を義務付けるなど感染拡大の防止策をとり、今年の春節帰省ラッシュは11億人と、2019年の6割減少、コロナが拡大しはじめた2020年春節の2割減少の予想である。近年で最も人口移動の少ない春節となるだろう。

帰省できず勤務地で春節を過ごす人が増加し、勤務地として多い都会の消費需要が増加している。住民の生活用品や年越し用品の供給を維持するため、中国政府はネット通販イベント「年貨節」の開催を呼びかけ大手EC企業の参加を促した。物流企業にも「不打烊(休まず営業)」、春節期間中の正常運営を促した。

天猫、京東、拼多多の春節キャンペーン、春節でも出荷すると表示される

1月20日にスタートした「年貨節」の10日間(全部で30日間)の売上は3441億元(約5兆5900 億円)に達し、そのうち飲食関連の売上が前年比49.6%増加、フードデリバリーの売上も前年比60.7%増加した。半製品であるおせち料理の売上も前年比375.6%増加であった。

ネット通販で年越し用品など贈り物を買って実家に送る人も増えている。中国第2位のECサイト・京東(JD)が公開したデータによると、1月18日-1月31日の発注の場所と宛先が異なる遠距離注文数が前年比55%増加しているのだ。

物流各社の春節営業時間一覧

物流方面では、今年は順豊(S.F.エクスプレス)、京東物流、アリババ系の「三通一達(中通、圓通、申通、韵達)」などの大手物流会社がこぞって「不打烊(休まずに営業)」を宣言。京東物流は残業手当、春節ご祝儀など従業員の福利に2億元(約32億5000万円)も投入した。順豊も春節の特別手当に3.7億元(約60億円)を投入した。

2020年の春節はコロナの感染拡大によりネットショッピングの需要が急増したものの、宅配サービスは停滞していた。物流企業の営業が正常水準に戻るまでにかなりの時間を要した。そのような事態を避けるためもあり、今回物流各社は「不打烊」を宣言したのだ。

一方休まず営業するとは言え、短期間での需要急増などの要因もあり、配達効率が普段より低下したと感じている消費者も多いそうだ。

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