市場規模が拡大する中国の中古品・フリマEC市場
中国は経済の成長と共に国民の購買意欲が高まっている。
そのためたくさん買い物したのはいいものの、利用頻度の低さや買いすぎにより、一部を処分したいという考えから中古品・フリマ市場の成長に繋がった。
2016年から中古品EC市場が急拡大しており、2019年中国中古品EC市場規模(中古車や不動産など大きい物件を除く)は2596億元にのぼり、2020年は3745億元に拡大すると見られる。利用者規模も2014年の200万人から2019年には1億4400万人に増えている。
活発化する中古品・フリマEC市場、新規参入も
中国の中古品ECの歴史をさかのぼってみた。
2002年に中古書籍を取り扱う「孔夫子旧书网」が創業されたのが中国の中古品ECの起源と言えるだろう。その後2007年から2012年の間に中古車市場が急拡大し、中古車ECプラットフォームが相次いで創業された。2014年からは閑魚(シェンユー)のようなフリマアプリや、中古スマホの買い取りを手がける「愛回収」のような垂直型中古品ECが相次いで生まれ、中国の中古品・フリマ市場は様々なカテゴリーの商品を網羅していった。
2021年に入り、中国中古品EC市場はより勢いを見せている。
アリババはメルカリとの協業を発表、ショートムービーの快手(kuaishou)も市場参入を宣言した。さらに4月にはテンセントが支援する「転転」が3.9億米ドルの資金調達を行い、業界過去最高金額を記録するなど、業界はさらなる盛り上がりを見せている。
数多くのプラットフォームの中でも、特にアリババ傘下の閑魚とテンセント系の転転の利用者規模が特に大きく、2社が市場シェアの9割を占めている。閑魚はタオバオ内の中古品取引用サービス「淘宝二手」を起源とし2020年9月時点でMAU(月間アクティブユーザー数)は9000万に達し、2020年のGMV(流通額)は2000億元を超えた。販売される商品は衣類からデジタル製品、家具までほぼ全てのカテゴリを網羅している。飼い猫が産んだ子猫を売っていたり、取引の範囲はかなり広い。
転転は2015年に創業し、2017年にテンセントの投資を獲得した。その後テンセントが提供する国民的チャットアプリ・wechatに转转への入り口が設けられ、转转のユーザー成長に繋がった。2020年5月に中古スマホEC「找靓机」と合併し、C2Cモデルを継続させると同時に、スマホなどのデジタル製品を個人から買い取って売るC2B2Cモデルも開始させた。
偽物販売、詐欺などの課題も
中古品・フリマプラットフォームは個人間の取り引きがほとんどであり、登録すれば基本的に誰でも物を販売できる。さらに日本とは違い取引手数料をほとんど取らないため、利用者がかなり多い。
その一方で、偽物販売、詐欺、禁制品売買などの問題も多発している。中国オンライン消費調停プラットフォームの「电诉宝」によると、2020年の消費者からのクレームでは、詐欺、代金払い戻し問題、商品品質、実物と表示されていた商品が異なる、アフターサービス不十分などが多かった。
まとめ
中国では近年ライブコマースやECサイトの割引イベントによる衝動的な消費が増えた。中国の大型ECセールイベント後には中古品ECの利用者数が一時急増するなどの現象も起きている。今後過剰な消費に気づき冷静になった消費者たちは理性的な消費へと転換していくだろう。
そのため今後も中古品EC市場の発展は大いに期待できる。そして中国政府がネット上取引への監督を強化している現状下により、プラットフォーム側の管理責任が明確化されるだろう。今後の中国中古品・フリマEC市場に注目だ。