アリババや京東などのEC大手が伝統的な小売業界を変え、中国はEC時代に突入した。最初は6日間かかった配達所要時間も3日、翌日と効率が高まっていった。そして現在はさらなる配達効率向上を目指した即時配達サービスが注目を集めている。
即時配達サービスはネットからリアルへと送客するO2Oの一種であり、フードデリバリー大手の美団(meituan)が代表企業である。
(O2Oは以下の2パターンがある)
- ネットで注文しお店でサービスを体験する(店に送客)
- ネットで注文し家に即時配達するサービス
今回は②の即時配達を紹介する
フードデリバリー界隈で定着している即時配達サービスだが、今では取り扱う商品やサービスも多様化している。2020年に新型コロナウイルスの感染拡大で人々が在宅を余儀なくされた影響もあり、即時配達の需要が急増した。
2020年に中国O2O市場規模は2兆6278億元にも達した。そして即時配達の市場規模は初めて①のネットで注文しお店でサービスを体験するパターンを超え、全体の56%を占めた。さらに2021年にはこの割合が63%まで拡大すると見られている。
美団、蜂鳥、達達が業界3強
即時配達業界にもたくさんの企業が市場参入しており競争が激化している。これらの企業は大体3種類に分けられる:
- フードデリバリー企業:美団(Meituan)
- 即時配達に特化した企業:達達(Dada・京東が出資)、蜂鳥(Fengniao・アリババ傘下)
- 伝統な宅配便企業:順豊(SFエクスプレス)
この中でも美団、蜂鳥、達達が業界の上位3社と言える。
美団のアプリは、フードはもちろん、衣類や薬、コスメ、デジタル製品など数多くのカテゴリー商品を揃えている。
アリババ傘下の蜂鳥配送はアリババ系のECやスーパー直営事業に即時配達サポートを提供している。デリバリーのeleme やECサイトTmallの「天猫スーパー」チャンネル、リアルスーパー・フーマー(盒馬鮮生)の商品の即時配達を蜂鳥配送が担当しているのだ。
また、京東が出資する達達は2014年に創業され、2016年に京東傘下の生活関連サービス「京東到家」と合併した。その後2020年に米ナスダックへ上場を果たした。
商品カテゴリはフードから、デジタル製品やコスメまで拡大
フードデリバリーが即時配達市場の75%を占めているが、日用品や薬などのカテゴリーの伸び率が近年著しく、2021年には伸び率が60%を超える見込みだ。
京東が支援する達達も食品はもちろん、スマホやコスメ、衣類も取り扱うようになった。スマホという比較的高価で消費頻度の低い商品への即時配達需要は低いイメージが強いが、京東が公開したデータによると、デジタル製品とコスメと衣類の即時配達の成長はかなり著しい。現在7000超のリアルのスマホ販売店が達達と連携し、スマホの1時間送達サービスを提供している。
チャイトピ! 編集部:
中国ECはかなり発達しているように見えるが、EC化率は20%にとどまっており、残りの80%は依然としてオフラインで取引されている。即時配達サービスが普及すれば、EC化率はさらに引き上がるだろう。そのため即時配達業界は投資家達から熱い視線を向けられ、大手の新規市場参入が相次いでいる。
しかし一方で、代表的企業の1つである達達は上場後、売上が伸びつつあるものの赤字経営が続いている。集客に投資した資金が増え反面、利用者数の成長が鈍化しているのだ。即時配達の消費習慣育成にはまだまだ時間が必要だろう。
関連記事: