中国小売大手のSuning(蘇寧易購)が2021年上半期業績予告を発表した。Q2で売上が前年同期より30%下落し、粗利が大幅下落すると見込んでいる。そして上半期の赤字額を25~32億元(前年同期の最終損益は1億6700万元)と予想している。
資金難に陥っている蘇寧易購をアリババが買収すると噂されたが、業績報告資料によると、中国の地方政府系ファンドが蘇寧易購に16.96%出資する。同ファンドとアリババや、家電メーカーの美的グループ、シャオミなどがパートナーになっている。
今回の出資後、蘇寧易購の経営権を握る大株主はいないという。創業者である张近东氏及び、蘇寧易購 Holdings Groupが合計20.35%の株式を保有し、アリババが19.99%の株式を保有する。
Suningは1990年に創業し、エアコン販売から事業拡大し中国最大級の家電販売チェーンになった。2010年からオンラインへ注力し、通販サイトの「蘇寧易購」をリリースした。その後2015年にアリババと戦略的パートナーシップを締結し、アリババは蘇寧易購 に出資、蘇寧易購はアリババのB2CサイトTmallにも出店している。
しかし近年蘇寧易購は、売上成長が鈍化してる上、カルフールの中国事業を買収するなど多くの投資を行い、資金繰りが悪化した。2020年の通年売上は前年より6%減少し、最終損益は43億元の赤字となった。
チャイトピ!編集部
Suningは社歴30年の中国大手小売企業であり、収益規模は4年連続世界企業番付けの「フォーチュンGlobal 500」にランクインしている。
中国EC市場拡大の変化に応じて、同社はオンライン市場の開拓に注力してきた。社名も戦略転換に伴い、蘇寧電器→ 蘇寧雲商→ 蘇寧易購と3回変更している。
しかし新型コロナウイルスの感染拡大により蘇寧易購のリアル店舗の経営は大きな打撃を受け、オンライン販売も、アリババや京東の他に、拼多多などの新興ECとの競争が激化している。今回の株式売却で蘇寧易購の資金問題は一時的な解決が見込まれるが、今後の激しい市場競争の中どのようにして道を切り開いていくか、蘇寧易購が現在直面している課題である。
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