中国政府がDiDi(滴滴)に対してサーバーセキュリティ審査を行ったことで、同社のアプリはストアから削除され、wechatとアリペイ上のミニプログラムも利用停止となった今、ライバル社達はこれをチャンスと捉えた。

このタイミングで美団(meituan)傘下の「美団打車」はアプリをリリースし、ロゴも刷新した。美団は2017年に「美団打車」サービスをすでに開始していたが、2018年から配車事業への投入を削減し、2019年にはアプリストアから撤去した。そして今回のDiDiのアプリ配信停止を機に再復活を果たし、北京でドライバーの募集を開始させた。

美団打車や高德、首汽约车が利用者とドライバーへの優遇策を打ち出した(チャイトピより撮影)

他にも「曹操出行」、「首汽约车」、「高德」などのネット配車アプリが揃ってキャンペーンを打ち出した。15元の乗車券を0.1元で5枚買えるフラッシュセールを行い、ドライバー向けにも時間帯限定で手数料無料などの施策を出した。

DiDiは今年3月時点で、3億7700万の年間アクティブユーザーと1300万ドライバーを持ち、中国ネット配車市場シェアの8割を占めるほどの絶対的王者であった。アプリ配信停止により新規利用はできなくなったが、既存ユーザーの利用には影響がない。しかし中国当局のDiDiへのサーバーセキュリティ審査は最短でも30営業日を要し、審査に問題が出た場合は配信停止がさらに長引く可能性もある。

上場してから2週間経った現在、DiDiの時価総額は535億ドルまでに下落し、上場初日より200億ドルも減少した。

チャイトピ!編集部より

多くの企業が参入している中国ネット配車市場だが、今だ勝者がいないのが現状である。市場シェアの8割を手に入れているDiDiでさえ、創業してから9年間赤字経営が続いている。消費者とドライバーへの補助金投入が赤字に繋がったのだ。

また、低価格を売りにして獲得した利用者のロイヤルティーは高くなく、さらに低価格のサービスを提供するアプリが出たら、いつでも市場シェアは容易に変動するだろう。

関連記事:

中国ネット配車最大手DiDiに続いて、「BOSS直聘」などの中国アプリも新規利用停止に