中国政府がネット企業への規制を強化し、独占禁止法違反としてアリババや美団などの大手がすでに罰金を課せられている。次の規制対象にテンセントミュージックが囁かれており、当局は音楽レーベルの独占権を手放すことを命じる方針だと報じられた。

テンセントミュージックは2016年に競合の「kugou音楽」と「kuwo音楽」を買収、自社の「QQ音楽」を含めた中国音楽ストリーミングアプリ3強を傘下に持っている。

今年2月にアリババの「虾米音楽(Xiami Music)」がサービスを停止して以降、アリババの出資を受けているネットイースの「網易雲音楽(NetEase Cloud Music)」が唯一のテンセントミュージックに対抗できる音楽アプリである。

テンセント・ミュージックと網易雲音楽の利用者数(チャイトピ!作成)

テンセントミュージックは世界3大レコード会社のUniversal Music Group、Warner Music Group、Sony Music Entertainmentと著作権提携をしており、中国音楽配信市場シェアの約7割を手に入れている。そしてJay Chou(周杰倫)を含めた中国で最も影響力のある歌手達の作品の独占権を手にしている。

最新データによると、テンセントミュージックの月間アクティブユーザー数は6億1500万人、網易雲音楽は1億8100万人と、大差がついている。もしテンセントミュージックが独占権を手放すことになれば、網易雲音楽が一部のシェアを取り戻すことが可能となる。

チャイトピ!編集部より

近年、中国の音楽配信市場では、海賊版が出回る状況がかなり改善された。無料のネットサービスに慣れていた中国消費者も音楽有料化を受け入れつつあり、音楽配信の市場環境が改善されてきている。しかし課金率は月額12元(約200円)ぐらいで、まだ低い水準にあり、網易雲音楽は2018年~2020年の3年間で約70億元の赤字を出している。

また、テンセントミュージックの2021年Q1の利用者は前年同期より6.4%減少している。ショート動画など新しい娯楽アプリが増えてきたことにより、消費者の利用時間がそれらにとられ、音楽ストリーミングアプリにとってかなり脅威なのだ。

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