中国政府の交通運輸部が18日、ネット配車の運転手権利を保護し、プラットフォームに手数料の引き下げ、および上限を定めるよう要求。これを受け、ネット配車最大手DiDi(滴滴)の株価が約4%下落した。

以前からDiDiは手数料の割合が30%を超過しており、高すぎると運転手が訴えていた。
しかし、DiDiによると、手数料は都市や、乗車場所、時間帯によって異なる上、手数料が実際に30%を超えた注文数は、全体の2.7%であると発表。

また、2020年全体の運転手の収入は、乗車料の79.1%を占めていることから、平均手数料は20.9%であることがわかる。さらにその手数料から、乗客への料金割引、企業の人件費、税金などを差し引くと、残る純利益はわずか3.1%であるとDiDi側は主張した。

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▲滴滴が公開した手数料の割合

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▲清華大学の調査による手数料

DiDiの主張に対し、清華大学が行った調査では、DiDiの手数料の割合平均は27%とDiDiの主張と異なる上、DiDi以外のプラットフォームでも24%取得している。

他のプラットフォームより、3%ほど手数料が高いDiDiであるが、実は未だ黒字化できていない。2018~2020年の3年間は、合計353億元の赤字を出している。利用者の乗車料を引き上げればもっと高い収益が見込めるが、補助金や割引など、他社との競争を経て獲得したユーザーのため、乗車料を引き上げると、ユーザー離脱を起こしかねないという、ジレンマを抱えている。

チャイトピ!編集部より

近日、中国政府が「共同富裕」の目標を揚げ、中間収入層を増やし、低収入層との
収入格差を減らす方針を発表。それに伴い、企業の社会への還元を推奨した。
これを受け、去年から行ってきたネット大手への規制強化は、貧富格差の拡大防止のためでもあったと分析されている。

先月は、フードデリバリーのプラットフォームに対して、配達員の最低賃金、労働環境などを定める指針を公開し、美団などデリバリー企業にとって、コストが突然拡大することとなった。

DiDiの場合、中国政府のサーバーセキュリティー審査を受け、アプリをストアから削除されたこともあるため、今回の手数料の件がさらに追い打ちをかける結果になるだろう。

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