中国新興EVメーカーNIO(蔚来汽車)は、近日ニュースで世間を騒がせている。
事の発端は31歳の起業家がNIO車の「自動運転補助機能(NOP)」を使用していたところ、衝突事故を引き起こし、死亡したことだ。
NIOは、この機能は自動運転ではなく、あくまで運転アシストだと強調したが、商品宣伝フレーズで「自動」の文字を使用し、ユーザーの誤解を招いたとして世間から批判を受けている。これを受け、ライバル社のxiaopengとLi Autoは「自動運転」の関連文字を全て「アシスト運転」に変更を行った。
この問題は、警察の調査結果の開示を待つだけだと思われていたが、一部のNIOファンが「NIO所有者500人がNOP機能は自動運転ではないことを認識しており、NIO側の宣伝や、紹介に誤解を招くようなことはなかった」とNIOを擁護したことで、予想外の展開を招く結果となった。
この声明に対し、1,000人を超えるNIOの別ユーザーが「何を持って私たちの代表としてこの声明出したのか」と反発する声明を発表したのである。
NIOは以前からユーザー運営が評判で、車だけでなく、顧客体験も売っている企業とよく言われていた。
バッテリーの無料交換や、申し込むと充電カーがやってきて充電してくれるサービス、オンラインのコミュニティを通したユーザー同士の情報交換、オフラインでのイベント開催など、良質なサービス提供により、ユーザーのNIO愛が向上。同社が以前、資金難に陥った際は、自腹で宣伝広告を提供したユーザーもいたほどだ。
しかし、今回の事件をきっかけに、「NIOファン」の間に亀裂が走ったことは間違いない。
チャイトピ!編集部より
このファンによるNIO論争は、中国アイドルを巡る「ファン文化圏」と近いものがある。ファンからの過激な応援行為でアイドルオーディション番組が放送中止になったことは、まだ記憶に新しいだろう。今回もNIOを応援するつもりが、NIOへの批判を高める結果となった。
ただ、ファン分断の背景には、この声明だけでなく、NIOの事業拡大と共に、所有者が増加し、ユーザーの構成が多種多様になったことで、コミュニティーの運営が複雑になったことも1つの要因であろう。
また、動画アプリのビリビリは、以前は二次元愛好者の集まりだったが、事業拡大と戦略転換により、多くのユーザーを確保。これにより、既存・新規ユーザー層の差異が現れたように、NIOは、まさに安全性の問題だけでなく、大金を投入して構築したファンコミュニティ問題にも直面している。
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