中国の工業情報省が近日、ネット企業による競合サービスのリンク遮断をやめるよう指示を行った。

当局は、7月からネット業界向けの是正活動を始めたが、「リンク遮断」問題については企業自らの業務改善が不十分だったことから、今回各企業を招集。指導会議を行い、リンク遮断問題を「段階的に解決する」よう指示した。

テンセントはその後、当局の決定を承諾し、リンク遮断の解除を段階的に実施すると表明した。

リンク遮断の代表的な例はwechat(微信)である。友達からwechatで送られてきたタオバオ(淘宝)の商品リンクや、douyin(抖音/Tik Tok中国版)の動画リンクをそのまま開けず、それをコピーしてタオバオアプリやdouyinアプリを開きに行かなければならない、という場面にwechatを使用している方なら、一度は出くわしたことがあるだろう。

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▲wechatにタオバオ(上)とdouyin(下)のリンクを送ると、
このように表示される

競合サービスのリンクを遮断することは、2013年より開始されたアリババのタオバオとテンセントのwechatの相互遮断が起源である。さらに、近年はバイトダンスの急成長により、テンセントとバイトダンス間のリンク遮断を巡る裁判が起きていた。

政府によるネット業界の独占規制の一環として、リンクの遮断が禁止されたことにより、今後、テンセントなど大手企業はアクセスを遮断することで独自の生態圏を構築することは難しくなるだろう。

チャイトピ!編集部より

今回の指令が出される前に、今年7月にはテンセントとアリババがお互いにサービスをオープンにすることを検討し、テンセントの決済サービス「wechat pay (微信支付)」をアリババのタオバオとTmallに導入するなど、制約を緩和する計画が進んでいると報道されていた。

それに加え、今回ネットサービスのリンク遮断が解除されることにより、消費者に大きな利便性をもたらすだろう。さらに、これらのプラットフォームを利用している企業にとっても、プラットフォームを跨いだマーケティング活動がより便利になることは間違いない。

その一方で、ネット大手らにとっては、独自の生態圏の壁が崩れることになる。これにより、より激しい市場競争を迎える可能性も否めないが・・・。