近日、中国では「元宇宙(メタバース)」という言葉をよくニュースで見かける。どういうものなのか調べても理解しにくく、実態を掴めない人が多いだろう。

一言で説明すると、インターネット上にある共有仮想空間を指す概念である。1992年に出版されたSF小説「Snow Crash」が起源で、29年も前に提唱された概念だが、近日Facebookがスマホ時代に次ぐ物として、メタバースの開発に5,000億円超を投下すると発表したことで、メタバースに火をつけた。

これにより、中国の株式市場でも、メタバースが大沸騰。中青宝、三七互娱、完美世界などゲーム会社がメタバース関連株と見なされ、株価が高騰。他にも今まで名前すら聞いたことのない会社もこのメタバースの波で名前を突如浮上させた。

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中青宝の株価推移

こうした流れの中で、中国IT大手らもメタバースに注目している。テンセントはすでに「王者元宇宙」「QQ元宇宙」など、メタバース関連の商標登録を申請。バイトダンスもメタバースを狙ってVR開発企業のPicoを買収した。

この熱気を見て、メタバースの話題に便乗する会社も続出している。
とある上場会社は、すでにメタバース関連のプロジェクトを創立したとアピールし、証券取引所に現在の事業とメタバースの関連性や、プロジェクトの成立時間、技術開発の進展の証明を求められる事態に。同社はその後、開発はまだ初期段階で、プロジェクトが市場の需要に応えられるか不明だと態度を一変させた。

これらの騒ぎに中国の国営メディアも「もしメタバースのような壮大なまやかしの概念に盲目的に投資をすれば、最終的にやけどすることになる」と警告するほど、メタバース熱が中国株式市場へ影響を与えている。

チャイトピ!編集部より

メタバースとは何なのか、未だによく理解できないが、この壮大な発想がもたらすビジネスチャンスを逃すわけにはいかない!と、投資家は盛り上がっているようだ。

確かに近年は、AR/VR、人工知能、ブロックチェーンなど、技術の発展により、メタバースの世界に向け進んでいるような感覚を与えられる。
さらには、2020年から新型コロナウイルスの感染拡大で、人々の生活がオンラインへ移動し、オンラインゲームの中で大学の卒業式、有名歌手のコンサートが行われた事例もある。

しかし、中国国営メディアが言うように、メタバースは現段階から見るとまだ遠い概念である。現在の関連技術は成熟には程遠いため、市場の熱気に流されず、トレンドとバブルの見極めが必要だろう。