アリババのMMC事業群が近日、コミュニティーEC関連事業のアップグレードを宣言。これまでの「盒马集市」「淘宝买菜」といった事業を統合し、ブランド名を「淘菜菜」に変更した。

アリババは以前から、コミュニティーEC大手の「十荟团」に出資しており、今年3月にはコミュニティーEC市場に注力するMMC事業群を創立。この背景から、今回の事業アップグレードは、アリババのコミュニティー型共同購入EC事業が新段階に突入か。

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タオバオのアプリから利用可能の「淘菜菜」

今回アップグレードされた「淘菜菜」は、独立したアプリではなく、アリババ系のタオバオとタオバオ特価版のアプリに設置された入り口から利用が可能。

現在は青果や、お肉などの食品のほか、スリッパなどの日用品を提供している。
スマホで注文を行った翌日、近くにあるスポットで商品を受け取れる仕組みだ。

チャイトピが試しに住所を設定してみると、その住所の500メートル範囲内に、文房具屋やコンビニなど、20箇所以上の受け取りスポットが表示され、利便性の高さを感じた。

アリババの市場参入は美団、拼多多より遅れているものの、「淘菜菜」はすでに中国約180都市でサービスを展開しており、すでに一定の規模に達しているようである。

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中国コミュニティー型共同購入ECの利用者伸び率推移(出典:天風証券)

関連データによると、2018年から2020年の3年間、コミュニティー型共同購入ECの利用者の伸び率は、それぞれ58.01%、25.37%、11.9%
成長は鈍化していたが、2020年に新型コロナウイルスという予想外の要素が再び業界の人気に火をつけることとなった。

しかし、再び人気となった一方で、コロナ禍を追い風に再び急成長してきたコミュニティーEC市場は、過剰な補助金戦争によって資金難に陥り、経営破綻や事業規模縮小する企業が相次いでいるのも事実である。

実際に業界上位の「同程生活」は経営破綻、DiDi傘下の「橙心优选」は事業規模を縮小。アリババが支援する「十荟团」も一部の事業を閉鎖し、リストラを開始した。

このような状況の中、アリババが「淘菜菜」に注力することは、トレンドを逆走しているのか、それとも絶好のビジネスチャンスなのか、中国のメディアで広く討論されている。

チャイトピ!編集部より

コミュニティー型共同購入EC業界は、もうダメなんじゃないかと言われているこの期に及んでアリババが事業をアップグレードし、投資を増やす姿勢を見せた。

確かに、利用者の伸び率は鈍化しているものの、長期的視点から見ると、中国のコミュニティー小売のEC化率は20.9%に留まり、まだまだ伸び代がある。さらに、ECを事業の基盤とするアリババにとって、コミュニティー型ECはそもそも無視できない存在だと言えるだろう。

ただ、低価格での商品提供によるユーザー獲得が政府により規制される現在、何を強みに市場を勝ち取っていくか、そこが重要視されるのは間違いない。

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