14億人もの消費者を抱える巨大な中国市場、次の主な消費者となる若者のトレンドが変わってきている。その中でも「国潮」は、中国市場を語る上で欠かせないキーワードだ。

最近、日本においても中国の「国潮」ブームを取り上げるメディアが増え、中国伝統のモチーフを商品に取り入れた「花西子(Florasis)」などの国産コスメブランドは、日本でも人気を集めている。

そもそも「国潮」とは何だろうか?日本の読者の中には、中国での流行や、中国らしさを備えた商品というイメージを持っているようだが、実のところ中国では「国潮」とは何か、決まった定義はない。

そこで、本稿の前半では、中国人が考える「国潮」や、「国潮」で注目されている消費分野を考察。後半では、中国のファッションブランドとZ世代の若者を対象とした取材を基に、「国潮」が流行した理由と問題点を考えていく。

▲バイドゥ上の「国潮」の検索量推移、2018年を堺に急拡大

そもそも国潮とは?

日本メディアでは、「国潮」を『中国伝統文化の要素を取り入れる風潮』だと解釈することが多いようだ。しかし、中国人の間では国潮について決まった定義はなく、主に以下の3つの説が濃厚だとされている:

① 中国伝統文化の要素を取り入れた商品
② 中国本土の流行ブランド(主にアパレルブランド)
③ 国産品=国潮

そもそも、「国潮」という言葉は、2018年から流行し始めたとされている。当時、中国スポーツブランドのLiNing(李寧)が初めてニューヨークのファッションショーに登場し、鮮やかな中国要素を現代の流行と融合させ、中国語の特徴である漢字や、中国のイメージ色である「赤」をデザインに取り入れたことで、大きな反響を呼んだ。

その後「国潮」の注目度は徐々に上昇し、国産品や中国伝統文化の要素を取り入れた商品が90後(90年代生まれ)や00後(00年代生まれ)の若者を中心に流行。

現在、「国潮」の代表として、よくメディアに取り上げられるブランドはLiNingの他、中国本土で流行りのファッションブランドも含まれる。つまり、「国潮」は中国伝統文化をモチーフにした製品だけを指すのではなく、『流行している国産ブランド』としても用いられているようだ。

国潮で注目されているファッションとコスメ分野

LiNingにより、「国潮」の人気に火がついた後、SUAMOMENTやROARINGWILD、bosieなど、中国本土のファッションブランドが相次いで登場した。これらのブランドはブランド名にアルファベットを採用することが多く、ストリートウェアレーベルや、ユニセックスブランドとしてZ世代の人気を集めている。

また、EC出店に限らず、リアル店舗にも注力しており、アート的な内装が若者を引きつけ、RED(小紅書)やweiboなどSNSで拡散されている。

大きなガチョウが人気撮影スポットとなったbosieのリアル店舗
(チャイトピより撮影)
Florasisの彫刻リップ(weiboより)

コスメ分野では、中国の伝統的な模様をリップに彫刻する「花西子(Florasis)」や、米市場に上場しているPerfect Diary(完美日記)などが「国潮」の代表である。Perfect Diaryは中国国家地理雑誌とコラボしたアイシャドウ、花西子は杭州西湖の風景をモチーフにしたコスメセットがネットで話題となっている。

ファッションブランドのGAONCREWが考える「国潮」

こうした背景から、「国潮」を追い風に成長してきた中国ファッションブランドが数多く存在する。「国潮」の影響やブランドの顧客層、長期的視点から見る国産ファッションブランドの未来について、チャイトピはファッションブランドのGAONCREWを取材!

同ブランドは、2015年に上海で創業し、創業者のLexは1980年代生まれの30代とかなり若い。本人は上海人でストリートウェアを好み、上海の「弄堂(古い町並み)」文化の影響を受け、マージャンや毽子(羽根突きに似てる子供の遊び)など、レトロな要素を商品のデザインに取り入れている

GAONCREWのリアル店舗、店頭の洗濯機をモチーフにしたデザインが人目を引く
(チャイトピ!より撮影)

創業当時「国潮」と言葉はまだ流行っておらず、2018年頃から「国潮」の注目度が上昇し始めた。そこで創業者であるLexは、スーツ、カジュアルウェアなどをカテゴリから全撤退し、リソースを若者が好む流行ファッションに移行した。

そこから2021年1月に初めてリアル店舗をオープン。そのクリーニングセンターのような店舗デザインが注目を集め、SNSでたくさん拡散された。

店を構えた「TX 淮海」は、上海で若者が最も集まる商業施設であり、さらに3階は「CHINA NEXT」と名付けられ、全店舗が国潮ファッションのお店となっている。

同ブランドは、HIPHOPを好む若者をターゲットにし、有名ラッパーとのコラボも展開。顧客層は高校生から大学生がメインであったが、最近ではサラリーマンのお客さんも増えてきたそうだ。

GAONCREWへの取材

以下は創業者Lexのインタビュー詳細である:

チャイトピ:消費者、メディアもみんな国潮国潮と言いますが、「国潮」とは何だと思いますか?

Lex:音楽に色んな種類があるように、「国潮」の定義もそれぞれ違う。私にとって、中国文化の要素を持つ国産品や、優秀な国産品どれも「国潮」だと言えます。

チャイトピ:国潮はなんで流行ったと思いますか?

Lex:昔の中国は、消費者はみんな海外の高級ブランドに憧れていて、高額なため単品で買う人が多かった。でも、今の若者はコーディネートを重視し、自分のセンスを出すため、セットで購入する人が増えました。それに加えて、国内でも優秀なブランドがたくさん現れたことで、消費者が国産ブランド製品を着用し始め、そこから自分らしいスタイルを形成したんだと思います。

チャイトピ:中国の国産ファッションブランドが慈善や寄付などを通して消費者の感動を呼び、一時的に売上を伸ばしましたが、その後売上が急減したケースがありますよね?長期的な視点から見ると、ブランドを作るために何が必要だと思いますか?

Lex:イベントや慈善、有名なタレントを起用して獲得した売上や人気は一時的なもので、ブランドが立脚するのに重要なのは商品そのものです。品質だけでなく、ブランドのカルチャー形成も重要になります。

チャイトピ:Z世代が次の主な消費者となり、ブランドはZ世代顧客の獲得に注力しているようですが、こうした若者インサイトを掴むには何をしたらいいと思いますか?

Lex:若者はヒップホップや運動など、様々な好みを持っています。彼らの好みをうまく把握すれば、彼らの心を掴むことができると考えています。ただし、友達との付き合いのように、何かのきっかけで知り合った後、どうやってその人と深く付き合っていくか、それがブランドの考えるべきことだと思っています。弊社もまさに消費者との付き合い方を巡って日々勉強しています。

チャイトピ:近年リアル店舗を出す中国のブランドが増えてきていますが、同じように御社がリアル店舗を出す理由はなんでしょうか?

Lex:リアル店舗を出す前、ポップアップストアやファッションの展示会に参加したことがあり、そこで良い反響を受けました。さらに消費者体験向上のためにもリアル店舗が必要だと感じ、展開を決断しました。今ではEC店舗が売上の半分以上を占めていますが、私にとって、リアル店舗は今後、無限の可能性があるものだと感じています。

リアルZ世代の社員50人が考える「国潮」

「国潮」を語る上で欠かせないキーワード「Z世代」。彼らが考える「国潮」や、情報収集ルート、国潮商品を購入する際に重視するポイントなど、チャイトピはZ世代の社員50名を対象に「国潮」についての考えや、消費行動に関するアンケートを取りました!

アンケート結果によるポイントは以下6点。

・Z世代社員の75%が国潮商品を購入した経験ある

・60%が「国潮」とは、中国伝統的文化を取り入れた商品だと考えており、24%は中国本土の流行ブランドを「国潮」と考えていた

・国潮を代表するブランドトップ3は、LliNing、花西子、茶顔悦色(湖南省を拠点としたティードリンクブランド)

・国潮関連情報の取得ルートは、weibo、RED、ビリビリがトップ3

・国潮関連商品を購入する時に最も重視している要素は、見た目がトップに

・国潮ブランドの改善すべきところについては、デザイン、イノベーション、ブランディングが最も多かった

詳細は以下の通り:
1、 国潮関連の商品を買ったことがありますか

2、どんな商品を買いましたか(複数回答可)

3、国潮の定義は何だと思いますか?

4、下記ブランドの中で、国潮の代表的ブランドと言えるものはどれですか(複数回答可)

5、普段はどこで国潮関連商品の情報を見ていますか(複数回答可)

6、国潮商品の購入ルートは?(複数回答可)

7、国潮商品を購入する時、重視しているポイントは?(複数回答可)

8、国潮ブランドが改善すべき点は?(複数回答可)

国潮が流行った理由は?

以上の調査と取材から、チャイトピは国潮が流行し始めた理由は主に以下の2点だと考える。

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