中国IT大手のアリババが自社株買い計画を150億ドル(約1兆8,000億円)から250億ドル(約3兆円)に引き上げ、2024年3月末まで継続して行うことを発表した。これは同社が2014年に上場して以降、最も規模の大きい自社株買いとなったと同時に、外国市場に上場する中国企業においても、最大規模の自社株買いとなった。

アリババのほか、スマホ大手のシャオミも同日に、100億香港ドルを上限とする自社株買い計画を明らかにしており、テンセントも今年に入ってから数回の自社株買いを行い、約21.96億香港ドルの株を買い戻している。

▲2022年香港で上場している会社の自社株買い(出典:财联社)

実際にアリババの自社株買い計画が発表された後、同社の株価が11%急騰したように、去年から中国IT企業が政府の規制強化を受け、株価の下落が続いでる状況下において、自社株買いが一つの挽回手段となっているようだ。

企業の自社株買いの目的は様々だが、主に以下3点だと考えられる:

・会社の成長見通しに対する経営陣の楽観的な見方や財務状況に対する自信を反映し、投資家の安定した信頼を得る

・中国当局が企業の市場独占行為や、無秩序な資本拡大に対して規制を強化し、新規投資機会が制限されたことで、企業は本業に注力し、多額な現金を保有する必要がなくなった

・買い取った株式は再販できないため、従業員持ち株制度に活用

この過去一年、中国IT企業の株価が暴落し、時価総額が半減した企業も珍しくない。現時点では政府の規制強化が緩和される目処が立たっておらず、インターネット業界の成長鈍化、さらには新型コロナのぶり返しといった難局から乗り切るには、まだまだ時間が必要となりそうだ。

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