中国のペット市場規模は、2010年から2020年の10年間で134.4億元から727.3億元(約1兆3900億円)に増加し、平均成長率は世界の成長率を上回った。

ペットの飼育率では、米国が68%、オーストラリアが57%、カナダが52%なのに対し、中国は22%と、将来的に市場が拡大する余地が大きい。高齢者だけでなく、様々なストレスに晒されている都市部の若者の間でもペットを飼う人が増加している。

ペット関連市場を見てみると、ペットフードは全体の30%を占め、最も大きい市場となっている。次にペットサービスが27%、ペット医療が23%、ペット用品が16%を占める。

▲2020年中国ペットフードブランドの市場シェア(出典:Euromonitor)

海外の成熟したペットフード市場と比べると、中国のペットフード市場はまだ成長の初期段階で、市場シェアの大部分を占有するような強い企業が存在しない状態である。
2020年トップ10社の合計シェアは18%に止まり、市場の分散化は明らかで、市場の1位と2位を占めるのは海外ブランドのROYAL CANINとMarsとなっている。

飼い主のペットフードの安全性に関する関心が高まったことで、過去に事件を起こし「毒フード」と揶揄される国産ブランドより、海外ブランドへの信頼が高いようだ。

中国企業の中で比較的知名度があり、上場している中宠(Yantai China Pet Foods)や、佩蒂(peidi)などのペットフード会社でも、他社ブランドの受託製造するOEMをメイン事業としているため、国内市場シェアが低くなっている。その中でも最近では「比瑞吉」などの国産ブランドが近年存在感を高め、数多い国産ブランドの中から勝ち上がって来ている状態である。

中国高齢化社会の加速や、独身の若者の増加から見ると、今後もペットを飼う人は増えていく見込みだ。この巨大市場に注力する海外勢、そしてOEMから自社ブランドの立ち上げに着手する中国勢の競争はさらに激化していくことだろう。